第5話 決闘当日

オーランドとの死闘の後、、、

俺はお見舞いに来たライルと話していた。


・ライル

「随分と痛め付けられたな、、

その甲斐はあったか?」


・あぁ、死ぬかと思ったがな、、、

オーランドのジィさんは、

果てしなく遠い、、、

だが、俺には目標が必要だった。

ただ、漠然と強くなりたい。

それだけじゃ足らなかったんだ。


痛む体を動かしながら、裕輝は思う。

目指す場所は見えた。

微かに、、、でも確かに見えたんだ。

後は、それを掴み取れば良い。


・ライル

「とりあえず今日は休め。

明日は闘技場で決闘が行われるらしいから、使えなくなる。

裕輝はどうする?」


・決闘?

誰かが戦うのか?


・ライル

「あぁ、、、

我が軍とギルドが揉めたらしくてな、双方の話し合いの結果、決闘となったらしい。

軍からは暴君と呼ばれるハンダ、

更に魔法大使タスラー隊長が出るらしい。」


・暴君、、、魔法大使?

何だそりゃ、恥ずかしいな。


・ライル

「馬鹿!

絶対に本人の前で言うなよ?

お前も決闘させられるぞ、、、

特に、、、

タスラー隊長はあの二つ名がお気に入りでな、、

馬鹿にすると烈火の如くキレてくるぞ。」


・マジか、、、

どうしよう、本人見たら笑っちゃいそう。


・ライル

「マジでやめてくれ。

俺にもとばっちりが来る。

よし、明日の決闘は観ない方向で、、」


・何でだよ!

俺は観るぞ。

観ることも修行の一環だしな。


・ライル

「ぇー、観ない方向で行こうよ。

お前が笑ったら、怒られるの俺だもん。

絶対に笑わないって約束してくれ、、、

な?頼むよ裕輝、、」


・ん〜、、、善処する。


・ライル

「ぇ〜、、、」


ライルは明日の事を考えると胃が痛くなった。


・ライル

「話すんじゃなかった、、、」


・もう、遅い。

ライル、明日は何時からだ?


・ライル

「えっと、、、日没からです。」


・何で敬語だよ!


すると、オーランドが会話に参加して来た。


・オーランド

「決闘は昼かららしい。」


・ライル

「オーランド総統!」


・オーランド

「はっはっはっ、

ライル団長もタスラーは怖いって事か?」


・ライル

「面倒なだけです。

タスラー隊長、、、面倒なんだもの。」


ライルがため息混じりに愚痴る。


・ライル、タスラーってどんな奴なんだ?


・ライル

「そうだな。

一言で言えば、、、面倒な奴。」


・どれだけ面倒なんだ!

やべ、会いたくなくなって来た。

明日、観るの辞めようかな、、、


・ライル

「辞めようぜ、裕輝。」


2人してそんな会話をしていると。


・オーランド

「ライル団長、

タスラーには私から話しておこう。

団長が、面倒な奴だと言っていた、、とな

あと、恥ずかしい奴だ、、、とも」


・ライル

「総統!

恥ずかしいって言ったのは裕輝です!

て言うか、告げ口はやめて下さい。」


・オーランド

「ならば、明日の決闘は2人して観るが良い。

観るのも修行なのだろう?」


ライルは裕輝と目を合わせる。

そして2人でうなだれる、、、


・ライル

「裕輝のせいだからな、、」


・いや、ライルのせいだろ?


2人のやり取りを見てオーランドは豪快に笑う。

そして夜は深けていく。



決闘当日、、


・あ〜、行きたくねぇ。


裕輝は朝から愚痴をこぼす。


・ライル

「あ〜、行きたくない。」


ライルも愚痴をこぼす。

2人して闘技場へと向かう。

その途中、、


・リーシュ

「あ、裕輝さん、おはようございます

傷の具合は如何ですか?」


・おはよう、リーシュ。

お陰で痛みも無くなったよ。

回復魔法って凄いな、、、

ところで、リーシュも決闘を見にいくのか?


・リーシュ

「はい。

怪我人が出た時の回復要員って役目もありますが、観に行きますよ。」


・なら、一緒に行かない?

ライルと2人ってのも味気ないし、、


裕輝はライルを見ながら言い放つ。

しかし、ライルは何も言わない。

言わないどころか、ナイス裕輝と言わんばかりだ


・リーシュ

「そうですね、、、

特に場所の指定とかは無かったはずなので、一緒に観戦していても問題ないかな?

ご一緒にさせて頂いて宜しいですか?」


よっしゃー!

心の中でガッツポーズ。

ライルも嬉しそうだ。


・なら、一緒に行こう。

ライル、良いよな?


答えは解っているが、一応立場的に聞いておく。


・ライル

「あぁ、問題ない。

ではリーシュも一緒に向かおう。」


・了解


リーシュが歩く後ろで、

ライルと裕輝がハイタッチ!

息ピッタリの2人であった。


闘技場に着くと、何やら揉めている様子だった。


・タスラー

「決闘の3時間前に、対戦相手が来ていないとは

どう言う事だ!」


ハゲ掛かったちょび髭が叫んでいる。


・サリス

「決闘時間には必ず来るはずですので、、、」


綺麗なお姉さんが謝ってる。

、、、どう言う状況?


・なあ、ライル。

これはどうなってんの?


・ライル

「さぁ、、な

俺にも分からん。

ちょっと聞いて来るか。」


ライルと一緒に揉めている2人に近寄る。


・ライル

「タスラー隊長。

状況を報告してくれ。」


・タスラー

「ライル団長か、、

決闘3時間だと言うのに、ギルド側の代表がまだ現れないのだ。」


・ライル

「ふむ、、

決闘3時間前の顔合わせは、軍独自のルールだろ?

決闘時間に間に合えば良い。

軍のルールを押し付けるのは良くないな。」


・タスラー

「ぐっ、、、た、確かに。

くそ、、サリス、

団長に救われたな。

良いか?

決闘時間に2人が来なければこちらの勝ちだ!

サリス、お前が替わりに出る事は許されない。

わかったな!」


タスラーは観客席に向かって歩いて行った。


・サリス

「ライル団長、ありがとうございました。」


サリスがライルにお礼を言っている。

この人も綺麗だなぁ、、異世界ってすげぇわ。


・ライル

「いや、こちらの都合を押し付けて申し訳ない。

詳細は解らぬが、タスラーが何かやらかしたのなら私が仲介してもいいぞ?

大丈夫か?」


・サリス

「団長さんは優しいのね。

大丈夫よ、本人達もやる気だったから。

軍の貴方には悪いけど、今回のギルドは全力で潰しにかかる覚悟ですので、」


サリスの話し方は丁寧だが、威圧感が凄まじい。

プレッシャーで変な汗が出る、、、

この人も相当強いな、、


・ライル

「何か深いわけがありそうだな。

色々と質問したいところだが、恐らくタスラーが難癖つけたと言ったところか、、、」


・サリス

「あら、団長さんには解るのね。」


・ライル

「まあ、付き合い長いからな、、、

その場に居なくて申し訳なかった。」


ライルはサリスに謝る。

すると、サリスの威圧が無くなった。


・サリス

「貴方の様な人が居るからまだ安心できるわ。

今回はギルドの仲間をコケにされたよ。

だから、こちらは引きません。

負けたらギルド潰されちゃう約束だしね。」


・ライル

「そうなのか?

タスラーの奴、、、ギルドを敵に回すなと言う王の言葉まで忘れたのか?

全く、今からでも止めに、、」


サリスがライルを止める。


・サリス

「もう、遅いわ。

私自身、今回の事は許せませんので、、

徹底的に叩き潰してあげる。」


そう言って、サリスは観客席に向かった。


・ライル

「マジか、、、俺のいない所で、、

くっ、、胃が痛い、、、」


ライルが腹を押さえる。

大変なんだな、、、


・ライル、ギルドってそんなに強いのか?


・ライル

「裕輝は知らないか、、

ギルド長のセリスは【オルドラの氷鬼姫】と呼ばれていてな。

とんでもない魔法使いだ。

そして、先程のサリス、、

戦闘では主にスカウト、サポートを担当しているらしいが、その頭脳で繰り出される戦略が恐ろしいらしい、、、

オーランド総統でも戦略を混ぜた対戦となると勝てるかどうか解らないと言っている程だ。

そして、工房にもドサリガンドを筆頭に相当の使い手が多数居ると聞く。」


・聴いてるだけで逃げ出したくなったよ。


・ライル

「だろ?

だから、王はギルドと敵対するなと、隊長クラスの人達に御触れを出しているんだ。」


・それなのに、タスラーが逆らったって事か、

てか、あれが魔法大使タスラーか、、

魔法大使ね、、、、まぶぼっ


裕輝はツボった。


・ライル

「こら、マジで笑うな!

気付かれたら本当に面倒なんだぞ?

アイツ貴族の中でも上の方だから、押さえ込むのにかなりの時間と力がいるんだよ。」


・ぶぁっはっはっ、

ひぃー、、、ぶはっ


・ライル

「ホントに、辞めて、」


相変わらずの裕輝とライルだった。

笑いが止まらない最中、ふと気付く。


・なあ、ライル。


・ライル

「どうした?」


・決闘ってさ、ひょっとして、、

本来は日没からやるもんじゃないか?


・ライル

「よく知ってるな、

誰かに聞いたのか?」


・いや、

昨夜ライルが日没からですって言ってたろ?

お前がサラッと嘘付けるとは思えないからさ、ひょっとして今回が異例だったんじゃないかって。


・ライル

「凄い推理だな。

だが、正解だ。

嘘ついた事は謝るが、通常は日没からだ。」


・んで、、、思ったんだけど。

ギルド代表の選手は異例の時間を知ってるのか?


・ライル

「あ、、、、」


裕輝に指摘されてハッとするライル。

急いでサリスとタスラーを呼ぶ。


・ライル

「あのさ、お二人さん。

今回の決闘は異例の開始時間だろ?」


・タスラー

「そうです団長!

わざわざ多くの兵士が観られる時間にしました。

軍の力を見せつけてやりましょうぞ!」


・サリス

「そうね、決闘の準備期間をお願いしたから、決闘開始時間は其方に合わせたわ。」


タスラーとサリスの意見が重なる。


・ライル

「それで、肝心のギルドの代表にはどうやって知らせたのかな?」


・サリス、タスラー

「あ、、、、、×2」


タスラーとサリスが同時に固まる。

ライルがため息をつく。


・ライル

「全く、2人して何してんの!

戦う人に知らせなきゃダメでしょうが!」


ライルに説教され、しゅんとする2人。


・ライル

「まあ、今更怒っても仕方がない。

タスラー隊長はここで待機!

サリスは代表者を連れて来なさい。」


・サリス、タスラー

「はい、、、×2」


タスラーがしょんぼりしながら戻っていく。

サリスは凄まじいスピードで走って行った。


・ライル

「さてと、、主役が来る間、

どうだ?裕輝。

俺と一戦交えるか?」


ライルが提案してくる。


・本当か?

是非頼む。

少しでも強くなりたいから。


・ライル

「OKだ。

とりあえず観客の兵士に良い刺激を与えたい。

全力で来い、裕輝。」


・了解だ。


2人は距離を取る。

観客席の兵士が騒ぎ出す。

まさかの対戦を目にする事となる。


・、、、ステータス

レベル16 所持金無し

筋力 392 +100

知力 323 −50

俊敏性 381 +100

魔法

光魔法

特性

勇者 全ての能力大幅アップ

魔剣補正 筋力+100 知力−50 俊敏性 +100

技能

剣術レベル 28 補正値レベル5 筋力10 敏捷性 10


オーランドの爺さんのお陰で大幅に上がったな。

果たして、ライル相手にどの程度通用するか、、


・ライル

「裕輝!

今回は魔法無しで得物も木刀だ。

良いか?」


ライルが裕輝に木刀を投げる。


・勿論だ。


木刀を受け取り、構えをとる。


・ライル

「いつでも来い、裕輝」


ライルが構える。

成る程、隙がない。

これは厄介な相手だ。

どうする?


・ふぅ、、、

考える前に斬る、、だったな、

じぃさん!


裕輝は真っ直ぐ飛び込む。

そのまま縦に剣を走らせ、、

そう見せかけて右ステップ。

そのまま右からなぎ払い。


・ライル

「甘い!」


ガキン


ザシュ


・がっ、、


ライルがぶっ飛ぶ。

裕輝は自分の斬撃を囮にし、

一瞬遅らせて逆側から剣気の一撃を浴びせた。


・甘いのはどっちかな?


裕輝が不適に笑う。

ライルも笑う!


・ライル

「そっちがこの気なら、こっちも行くぞ!」


ライルが突っ込んでくる。

先程の裕輝の動きと同じだ。


・同じ技に引っ掛かるかよ、、!


裕輝は全力でバックステップをする。

上手く躱したつもりだった、、


ドカッ


・ぐはぁ


裕輝の膝が落ちる。

何が起きた?

ライルは俺と同じ攻撃をすると見せかけて、剣気の攻撃を更に被せて来た。

要するに3回攻撃して来た。

俺は全て躱したはずだ、、、

見落としたのか?


・ライル

「どうした裕輝?

もう降参か?」


・バカ言え、これからだ。


裕輝が飛び込む。

ライルも応える。

闘技場の中心で2人の剣がぶつかる。

闘技場の熱気はどんどん上がって行く。

兵士達が各々に応援している。


・オラァァ!


・ライル

「ウラぁぁぁ!」


裕輝とライルの戦いはまだまだ続いて行く。

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