第6話 ライルと雷属性

・しかし、ライルの奴、、

槍が得意なはずだろう?

剣なのにやたらと強え。

流石は団長って所か、、、


・ライル

「どうした?裕輝。

本気で来いよ。」


くそ〜腹立つ。

せめて後一撃入れてやりてぇ。


・行くぜ


裕輝の突進、、、

そのままスライディングしながらの斬撃。

更に剣気で挟むように斬りつける。


・ライル

「そう、、、来たか!」


ライルは跳びながら斬撃を躱しつつ反撃して来る


・ブベッ、、


裕輝の顔面にクリティカルヒット。


・くそ、、、マジで強え。

どうにか、、、


裕輝は再び飛び込む。

次は、、、


・ライル

「さあ、どう出る?」


裕輝はライルに向かって行く。


・まだだ、、、まだ、、


更に近く、、


・ライル

「む、、、どうする気だ?」


もう目の前だ、、、


・ここだぁぁぁ


裕輝の叫びに、ライルが構える。

裕輝は武器を真上に投げる。

更に剣気も真上に放つ!


・ライル

「なっ!この技は何だ?」


ライルが頭上の剣を目で追った瞬間、

ライルの視界から裕輝が外れた。

そこを狙って裕輝のダイビングヘッド、、、


・ライル

「ブブァ、、、」


ライルの腹に裕輝のヘッドバット。


・ふ、、、どうだ。


・ライル

「武器を投げる奴があるか、、

その後どうするんだよ。」  


・こうするんだよ!


裕輝はまだ空中にある剣に飛ぶ。

そして、そのまま剣を掴もうと、、


・ライル

「させるかぁぁぁ」


裕輝が剣を掴むと同時にライルの斬撃が入る。

そして、そのまま2人は着地する。


・ライル

「くっそ、、、腹がめちゃくちゃ痛え、、

とんでもねぇ攻撃しやがって、、

裕輝、、、また戦おうぜ。」


ドサ、、、


裕輝が倒れた。

ライルの勝利が確定する。

場内は歓声の嵐に包まれた。


・ライル

「全く、あんな攻撃有りかよ?

相変わらず規格外な奴だ、、。」


ライルは裕輝を抱き上げ、医務室まで連れて行くのだった。


医務室にて、、


・負けた、、、か。

ライルにはまだまだ敵わない。

勝つ糸口すら見つからなかった。


裕輝は立ち上がる。

痛みが無い、、?

回復魔法を誰かが掛けてくれたって事か、、、

見渡すが誰もいない。


・席に戻るか、、、

試合が終わってなきゃ良いけど。


裕輝は急いで観客席に向かう。

会場はまだ騒いでいない、なら戦いもまだ始まってはいないか?

席に着くと、ライルが居ない。

そう言えばリーシュも居ないな、、、

席が空席のままだ。

闘技場の真ん中を見るとそこにライルが居た。

審判でもやるのかな?


・流石に俺が行くわけにもいかないしな。

此処で大人しく観てるか。

もう決闘が始まるみたいだし、、


ドーン


ライルが爆音と共に俺の隣には飛んできた。


・どんな始まり方だよ!

めちゃくちゃ斬新だな。


・ライル

「いや、始まりが分かりやすいし、、

何より開幕総攻撃のトバッチリに合わないから、

いつもこれでやってます。」


これがデフォルトかよ、、、

流石は異世界ってとこかな。

さて、試合を観なきゃな。

って、あれ?

リーシュ、ギルド側に座ってない?

何かあったのか?

おっと、、、今は戦いを観なければ、、、


・なあライル、ギルドの奴らはどんな奴だった?


・ライル

「奴が、、、ライオットだ。」


・裕輝

「何!アイツが?

リーシュが向こうに座ってるのはアイツのせいなのか?」


・ライル

「分からん、、、分からんが、、」


・ライル・裕輝 

「ライオット、、、やっぱり殺す、、、」


リーシュが絡むと、どうしても殺意が湧く。

ライオット、やっと顔が拝めたぜ。


・ところでライル、大方の予想は?


・ライル

「そうだな、予想では軍の圧勝だな。

ライオットは低レベルで、

相方は水属性だ。

圧倒的不利といえる。」


・水属性なら、凡庸性が高そうだからそれなりに戦えないか?


・ライル

「水属性は戦闘に置いて役には立たない属性だぞ?

戦闘力は無いに等しいからな。」


・そうなの?

俺的には色々と出来そうなんだけどな。

まあ、この世界の事は良く分からん。

とりあえず観ておくか。


両者が動き出した。

すると、いきなりライオットが逃げ回り始めた。


・いきなり逃げたぞ、、、


・ライル

「あぁ、、、逃げたな」


余りのライオットの無様な逃げっぷりに、

会場も呆気にとられる。

そして皆思う、、、こりゃダメだな、、と。

一方、タスラー


・ライル

「タスラー隊長が火の玉を出したぞ。」


・凄い数だな、

思ったより強いんだな、、

流石、、、魔法大使、、、タブフッ


・ライル

「やめろ、、笑うな」


タスラーが火の玉を放つ、、、

すると、、対戦者が水魔法を展開。

全ての玉が撃ち落とされた。


・ライル

「なっ!何だ今のは?

水、、だったよな?」


・だから水は強いって言ったじゃん。


裕輝はちょっと得意げだ。


・ライル

「そんな事言われてもな、、

あんなに強いなんて聞いた事ないぞ?」


ドパァァァァン


・何だ?


音がした方を見る。

ライオットだ、、、何をした?

ハンダの武器が無くなってる、、、

ハンダは剣を抜いて斬りつけ始める。


・ライル見たか?

ライオットは何をした?


・ライル

「いや、見ていなかった、、何をした?」


・くそ、見落とした。

ついつい、魔法の方に気がいってしまった。

次は見落とさん、、、


しかし、ライオットは相変わらず無様に逃げ惑う

どう見てもハンダの方が強い、、、

すると、ハンダの動きが止まった。


・ライル

「くそっ、タスラーめ。

本気になりやがった。」


俺はタスラーを見る


・おぉ、スゲェ。

これまたデカイ玉だな、、、


タスラーは巨大な火の玉を相手に放つ。


・ちょっとスピードに難ありかな?

低レベル相手なら当たるか、、、


・ライル

「威力は申し分ない。

それに追尾機能もあるから、相手が低レベルならば必殺の一撃となる。」


・マジか、、、

どうしよう、止めに入ろうかな、、

ライオットは何してる?


ライオットを見ると体操座りで地面に何やら書き込んでいる、、、


・落書きかよ!

てか、あいつ大丈夫?

現実逃避してない?


そんな事を言っても火の玉は止まらない。


・わりぃ、ライル、、

ちょっとコレ止めに入るわ。

流石に見殺しには出来ん。


・ライル

「まて、対戦相手の雰囲気がおかしい。

明らかに焦っていない。

寧ろ余裕まで感じる。」


ライルが俺を止める。

俺も注意深く観察する。


・本当だ、、、めちゃくちゃ余裕だな。

どうやって勝つかを決めかねている印象だ。


・ライル

「同意見だ。

もう少し様子を見るか、

本当にヤバかったら俺が突っ込む。」


・わかった、、ライルにまかせ、、


『スプラッシュ・カノン』


タスラーの火の玉が一瞬で消滅する。

対戦者が水魔法で掻き消したのだ。


・おっほぉ〜、あの子やるなぁ。

あのデカさの火の玉を一瞬で消滅させたよ。


・ライル

「すげぇ、、、

水属性が弱いと言われていた時代が変わるぞ、、

あの子、何者だ。」


・タスラーやべぇんじゃねぇ?

軍が負けちゃうぞ、、、


・ライル

「それはそれで問題だな、、、

せめてハンダに少しくらいは頑張ってもら、」


ズルっ!


ドゴーン!


、、、、、ぶわっはっはっはっ!

ハンダの豪快な自爆、会場中が笑いに包まれる。


・ライル

「あのバカ、何やってんだよ。」


・だぁーはっはっはっ!

すげぇなアイツ、会場中が爆笑の渦だぜ。


暫く笑いの絶えない会場

それが一瞬で鎮まる出来事が起こる、、、


『神雷』


ズドン


・ライル

「う、、、嘘だろ?

雷属性だと?

あり得ない、、、」


・あれは、、雷か?

あの子、2つの属性を持ってるのか、、


会場中が静まり返る、、、

あり得ない光景にみんな唖然としている。


・ライオット

「あ〜、ライルさん。

俺たちの勝ちで良いよね?」


・ライル

「あ、あぁ、

この勝負、ギルドの勝ちとする。」


会場が歓声に包まれる。


・なあ、ライル、、、

あの子、、、


・ライル

「あぁ、、、とんでもない事になりそうだ。

雷属性は特別な属性なんだ。

あの子の素性を洗わなきゃならん。」


ライルは早々にこの場を立ち去った。

俺もついて行く事にした。



城内資料室、、、


・ライル

「確か、、、この辺にあった筈。」


・何を探してるんだ?


・ライル

「初代勇者の家系図だ。」


・初代勇者?


・ライル

「あぁ、元々雷属性は初代勇者しか持っていなかった属性だ。

その後は勇者の家系にしか現れていない。」


・そうだったのか、、、

ん?て事はお前、、


・ライル

「そうだ、勇者の家系だ。

あの子が雷を使えるのならば、この図に入っている筈、、、くそ、無いぞ。」


・名前は知ってるのか?


・ライル

「あぁ、対戦前に言っていた。

マーダーと名乗っていたが、今はマルチだと。」


・マルチ、、、か、

それらしい名前は無いな?


・ライル

「どうなっている?

家系以外で雷が出た事は無かったのに。」


・ふむ、、、

それって問題か?


・ライル

「へっ?」


・勇者の家系以外でも雷属性が居るって証明されただけだろ?

大発見だっ!、、で終わりじゃない?


・ライル

「、、、、、確かに。

隠れた家族が居なかったって判れば良いか。」


裕輝の一言であっさりと素に戻るライルだった。


・ライル

「裕輝、とりあえず色々と計画が崩れてしまったから、これからまた組み直そうと思う。

悪いが今日はここで解散としよう。」


・わかった。

じゃあ、適当に時間潰しておく。

ところで、俺はどこで寝れば良い?

お金とか持ってないぞ。


・ライル

「城に1室用意しておこう。

門番に名前を言えば案内する様にしておく。

ゆっくり街でも観てこい。」


・ありがとよ。

んじゃ、城下町でもぶらついて来るかな。


・ライル

「裕輝、持ってけ。」


ライルが何かを投げる。

小さな袋?


・何だこれ?


・ライル

「金貨だ、、

それだけあれば時間潰しも出来るだろう。」


・おぉ、マジか。

ありがとう、ライル!


袋の中には金貨が5枚。

これでいくらなんだ?

まあ、良いか、、、店主にでも聞こう。

俺は早速街に繰り出した。


そこは、今まで見た事ない様な世界だった

映画でしか見たことない様な街並み。

車ではなく馬車ばかり。

見た事のない動物、、、動物だよな?

俺は心を奪われた。

そして、少しだけ期待してしまった。


・こう言う話の主人公ってのは、このタイミングで出会いのイベントとかあるよな、、

現実はそう甘くないかな?

いや、分からんぞ、、、、異世界なんだし


そんな裕輝の願いも虚しく、、、

結局なにもおこらなかった。

平和な街だ、、、、

そして、日が暮れた。


・そろそろ帰るか、、、

城に泊まるってのも良い経験だな。


門番に話しかけると部屋まで案内してくれた。

ついでに、使わなかった金貨もライルに返してほしいと言って、兵士に渡しておいた。


・城の部屋か、、、

想像以上にデカイ。

寝れるかな?


そんな不安はあったが、、、

グッスリと眠ることができた。


そして次の日がやってくる。

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