第18話
瀬尾君としーちゃんが部屋を出て、後ろ姿が扉で見えなくなったと同時に涙が溢れてくる。
瀬尾君の顔をもっと見ていたかった。しーちゃんの顔をもっと見ていたかった。瀬尾君の包み込んでくれる優しい声をもっと、しーちゃんの声をもっと聴いていたかった。瀬尾君の優しさにずっと触れていたかった。孤独感が全身を襲う。孤独はイヤだ孤独はイヤだ孤独はイヤだ。
いじめられている時と同じ感覚が襲ってくる。
一年生の頃から陰口で傷つく言葉を毎日言われ、突き飛ばされたり、蹴られたり、冷たい水をかけられたり他にもやられた。ひどいことを。心がすり減っていき、もう耐えられなくなっていった。しーちゃんだけが助けてくれた。しーちゃんだけが心の支えだったけど、何で私だけが辛い目にあわなきゃいけないのと毎日毎日思っていた。学校に行きたくない、教室にいたくない。
私は、心も身体も疲弊していき生きることが辛くなっていた。
二年生に進級して、後輩の瀬尾君の笑顔が私を優しく包み込んでくれているように感じた。周りの人達とは違うオーラを感じた。暗く息ができない闇の中に光が差したような、手を掴み引っ張りだしてくれてるように心が感じた。それから、瀬尾君が救いだしてくれる優しい人だと確信した。私は、頑張って瀬尾君にアプローチしていくうちに彼に惹かれていった。彼と付き合えてからは徐々に心の傷が治っていった。瀬尾君の優しさに触れて、彼と一緒に生きていきたい、彼の優しさに包まれていきたいと思うようになった。
そんななか、私は立ち直れなくなった。カラオケ店にいった日、言われたある言葉で。
その日から今日まで学校を休んでいる。
瀬尾君は私の味方だよと言ってくれた。でも足がすくんで、学校に行けない。
瀬尾君にもっと抱き締められたい。瀬尾君の優しさに包まれていたいよぉー。涙がとまらない。
瀬尾君と結婚して、ずっと抱き締められたい。私は、彼の温もりを感じて生きていきたい。
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