第15話
日曜日。
俺は牧さんと一緒にカラオケ店に来ていた。
「瀬尾君、歌ってよ」
牧さんに言われ、曲をいれてマイクを持つ。曲が始まり、歌い出す俺。
歌っている間は静かに聴いていた。俺が歌ったのはGReeeeNの君想い。彼女はこの曲を知らなかったみたいだった。
「うまいね、瀬尾君。次は私だね」
そう言い、マイクを口に近づける。
歌い始めた牧さんの歌声は俺よりもすごかった。
ハニワの曲で俺も知っていた曲でよく聴く曲だった。
俺と牧さんは、ドリンクを口に含んだ。
俺はウーロン茶で牧さんはコーラ。俺とは違い、牧さんは炭酸が飲める。
二人でパートにわかれて歌ったりした。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
牧さんが出ていく。
15分経っていた。
曲を歌いながら待っていても牧さんが戻ってこない。
さすがに遅すぎる。
俺はトイレに向かうとトイレの前で牧さんが座っていて、牧さんの前に三人の女子がいた。
「牧さん、痛いとこない?」
すかさず牧さんに駆け寄り、手をさしのべる。
牧さんが立ってから俺は彼女達に向き合い睨み付ける。
「あんたはコイツの何なの」
「何だっていいでしょ。牧さんを傷つけるなよ、あんたら」
「はぁーあ。もう行こ」
彼女達が遠ざかっていく。
「ごめん、春香。すぐに駆けつけられなくて」
「いいよ。ありがとう、瀬尾君」
牧さんは涙を流す。
俺は涙を拭いてあげて、手を繋ぎ戻った。
二人とも歌う気分がなくなり、少し時間が経った頃にカラオケ店を出た。
牧さんを家まで送り届けた。
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