第8話

牧さんの教室に着くと廊下で待ってくれていた。焼きそばパンとペットボトルのお茶を抱えている。

俺に気付いて駆け寄ってくる。愛おしい。

「行こー、瀬尾君」

優しく手を握ってくれる。

屋上の扉を開き、気持ちいいー、と牧さんは声をあげる。

ベンチに腰かけて、パンの包装をあけてパンにかぶりつく俺達。

放送部の昼の放送が流れてくる。今日はお悩み相談の日だ。合間に曲が流れる。俺の好きなバンドの曲が流れている。

牧さんは俺の横顔を見つめながらもくもくとパンにかぶりついている。

「この曲好きなの。瀬尾君」

「そうなんだ」

「今日さー、一緒に帰ろ。いいかなっ」

「いいよ、春香」

昼休みが終わる5分前まで牧さんの親友の話や好きな歌手を聞いていた。


教室に戻るとくっきーが本を読んでいた。俺の好きな作家の本だった。

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