第4話

「私のことを春香と言って」

「先輩のことを呼び捨てにするなんて」


これが昼休みに話した一部の会話。


放課後になり帰ろうと鞄を提げたら、扉のところからひょこっと顔を出した牧さん。

「瀬尾君っ、一緒に帰ろっ」

「わかったよ」

牧さんは教室に入ってこない待ってくれた。

手を繋いで帰る俺達二人。


着いたのは俺の家ではなく、牧さんの家だった。立派な家だった。

「さあさあ。入って。瀬尾君っ」

「ハイハイ。わかったよ春香」

扉を開ける牧さん。

「ただいまー」

「お邪魔します」

あがるとお母さんがいた。

「おかえりなさい。春香そちらは」

牧さんに聞いて俺の方を向いたお母さん。

「付き合い始めた瀬尾君」

「瀬尾です。これからよろしくお願いします」

「まあまあ。春香と付き合うなんて、これからよろしくね。瀬尾君」

手を口にあてて言う。

「はい、お母さん」

「まあ、お母さんだなんて」

俺の肩を叩くお母さん。

「母さん。夜ご飯を一緒に食べたいんだよ。瀬尾君と」

牧さんが言う。

「ええっと。お邪魔じゃないですか」

そう言う俺。

「お邪魔なんて。夜ご飯食べていって。春香もそう言ってるし」

お母さんに誘われる。断れない。

「ありがとうございます」


牧さんの家族と食べた夕食は美味しかった。お兄さんにも挨拶をして帰った。

緊張した。

家に帰ると夕食が用意されていたけど、友達のとこで食べてきたと言って部屋に入る。

母さんは驚いていた。

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