◇第38話◇灰になるまで

 ※パソコンの調子が良くないので携帯から


 ◆


 検査日は朝から最悪だった。


 ずっとお守りでしていた翡翠のくり抜き指輪が、不意に粉々に割れてしまい。


 何とか問題解決したはずのパソコンが、また不安定になり。


 時間になり、長男に付き添って貰い、出かけた出合い頭に例の仕事関係の知人と、ばったり。


 アチラは全く何事もなかったかのように優雅な笑顔で、おはようございます。

 こちらも、さすがに笑えなかったけど、おはようございますと何とか返した。

 どんだけ図太い神経してるんだ、って悔しかったけど堪えた。


 こういうタイプのヒトには、何を言っても無駄。

 亡夫の両親や兄弟で嫌というほど学習済み。


 どれだけこちらが正論言っても、相手は自分が絶対正しいって考えだから、脳内で都合のいい理屈により全て変換される。


 知人に会った時点で、わたしの精神状態は

 駄目押しされた感じだった。


 付き添う長男が心配してるのがわかったけど能面の顔に、つぐんだままの口。

 少しでもこれ以上揺らせば 砕け散ってしまう。


 バスに乗り病院へ向かう。


 受付を済ませて順番待ち。

 しばらくして呼ばれて検査。


 実は検査の途中で倒れてしまった。


 それでなくても病院という場所は

 フラッシュバックを起こしやすいし、

 加えて最近はほとんど食べれて無かった。

 ストレスも限界値で朝のが引き金になったんだと思う。


 貧血にパニック起こしてしまい、意識戻ってもひどい有様。


 検査技師さんが、とっさに支えてくださったので頭を打たなくてすんだのは幸いだった。


 看護師さんが来られて血圧を測る。

 冷汗と脂汗が酷く気持ちが悪い。


 検査の続きはまた日を改めてにしましょう、と言われるが、少し休んだら大丈夫だと思うので とお願いする。

 せっかくここまできて検査半分まで済ませたのに、またもう一度の気力が、とても出そうにないし、この検査で異常が無ければ一つ安心できる。


 無理をいって、申し訳なかったけれど、主治医の先生に希望を伝えて指示を仰ぐことに。


 少し休んで血圧が戻れば様子を見ながら、残りは車椅子に乗って続行ということに。


 そして 、なんとか検査を済ますことができた。


 結果は異常無し。

 心底ホッとした。


 息子は待合室で待ってくれていたのだけど、ぐったりして車椅子で帰ってきたわたしにびっくりして。

 また心配をかけてしまったが、検査結果に異常が無かったのを報告すると、何度も良かった良かったと言ってた。


 しばらく病院で休ませてもらい帰宅。


 長男に付き添って貰っていて良かったと思った。

 やはり 今の自分だと、行き帰りが情けないけど心もとない。


 帰った後は薬飲んで氷枕にダウン。

 それでも長男が作ってくれた うどんを食べれた。



 今 わたしの心と身体は、ぐちゃぐちゃになってる。

 混沌としていて、どうにも苦しくて辛い。


 特効薬があるわけでもなく、また 治す以前に後から後からくる諸々で、また混乱する。



 此処でない何処かへいきたい。


 何度も何度も何度も、そう 思った。

 今だって、そう思うことを止められない。



 でもそんな場所はない。


 わたしは此処で生きて、此処で死んでいく。


 この混沌が、いつまで続くのか、まったく未来は見えない。


 けど、諦めたと何度口にしても、多分やっぱり諦めきれないのだ。



 結局 わたしはシブトイ。

 みっともないほどに足掻き続けながら、でもそんな風にでも生きることができるなら。

 それが わたしなら。


 灰になるまで。


 燃え尽きるまで。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


*この頃のこと*


体調が優れなかったので、一人で行かすのが心もとないと検査に長男が付き添ってくれました。長男が高校生の頃ですね。


高校には事情を話して休ませて貰ったのか、それとも、たまたま休みの日だったのか記憶が定かでないのですが……。

こうして振り返れば改めて、不甲斐ない母を本当によく支えてくれたと思います。

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