◇第13話◇ひなた

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  『ひなた』


 新品のランドセルが

 擦れたキズの勲章でいっぱいになって

 いつのまにかママじゃなくて

 お母さんと呼ばれてる


 小さな日焼けした顔が

 いっちょうまえに男の顔をして

 お母さんを守れるように……なんていう

 

 そういえば泣かなかったね

 お葬式の日も

 ただ握りしめていた

 痛いほどに、きみは、わたしのこの手を


 一緒にラーメン屋さんをするんだって夢

 いつまで覚えてくれてるだろう


 プール遊びの後

 はしゃぎ疲れて眠るきみ


 頬にそっと頬寄せれば

 ひなたの匂いがした


 ************


 夕暮れに……


 遊び疲れて眠った横顔

 埃を被った柔らかな髪に

 泥のこびり付いた薄桃色の頬


 ひなたの匂いが、して


 久しぶりに、わたし……笑った。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


*この頃のこと*


ちょっと季節は前に遡り、5月の終わり頃の日記になります。

この詩は、その頃、小学生だった末っ子のことを書いたものです。


甘えん坊だったこの子も大きくなって、今は一人暮らしをしています。

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