◇第2話◇前略 道の上から

 相変わらず予定通りにはいかなかったり、思いもかけないアクシデント続出の毎日で。


 今日も今日とて、末っ子が遊びから帰ってきたらオデコにピンポン球くらいのタンコブ作ってて、お母ちゃん、魂消たまげる。

 右目の下にはオマケに擦り傷つき。


「な・なんで、こんなことに……(絶句)」

 聞いてみると、チラチラよそ見して走ってたら、電信柱と激突したそうな。


 とにもかくにも、泥だらけの顔を、そうっと拭いて、傷口を注意深く消毒。

 そうして、ピンポン球タンコブを冷やす。

 これが結構大変。なにしろ球形になってるから。

 その上、触ると痛いときてる。

 柔らかアイスノンを薄めのタオルに包んで、そうっとそうっと球形に添わせる様にあてる。


 子供は幸い、気分とか悪くない、頭痛もないっていう。

 けど、頭をなるべく動かさないようにして、「疲れてるだろうから少し横になりなさい」って言い聞かせる。

 さすがに珍しく素直。

 疲れたのもあるんだろう。 

 そのうち、すうすうと寝息をたて始める。


 ふぅ……。

 とりあえずは、これで腫れの引き具合を見るようにする。


 夜には腫れもかなりひいてきた。

 気分も悪くないようなので、ひとまず安心する。

 後は明日の朝の様子見してから、病院に一度連れて行くかどうか決めよう。


 まったく!

 お母ちゃんの寿命、確実に1年は縮まったぞ~(泣)


 くぅくぅ、むにゃむにゃと無邪気に眠る寝顔見ながら、そっと頬に触れる。


 痛かったねぇ……。

 いっぱい泣いたんだろう。

 涙の痕つけて、でも、泣き止んで帰ってきたんだよね。頑張った。


 この子の意地っ張りと頑固は母譲り。

 でも本当は甘えん坊。 


 痛いこと泣きたくなること、ほんと生きてるといっぱいあるよね。

 時には、こんな大きなタンコブ作ってきたりして。

 それでも、手当てして涙拭いて、また懲りずに走り出す。


 ◆◆◆


 前略 人生の道の上から。


 見ていてくれていますか?



 まったく懲りない親子です。

 もうすぐ朝日が昇ります。


 そうして新しい今日がまた、はじまります。

 なんとかかんとか、やってます。

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


*この頃のこと*


昨日の日記と同じくらいで、下の二人が小学校低学年の頃の話です。

長男と次男の間は少しあいていて、次男と末っ子は一つ違い。

男の子は怪我や病気が多いというけど本当に。


長男も小さい時には怪我や病気でハラハラさせられたものです。


三人共、よくぞ無事に大きくなってくれたなぁと今更ながらに、しみじみと感謝。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る