第10頁「ゲームソフト」
これは自分が小学生の頃にあった不思議な話だ。
1990年11月、スーフ×ミが発売された。
ゲーム好きの俺は、さすがに発売日には買えなかったがお年玉でスーフ×ミ本体とカセット1つを買った。
それからは、冬休みが明けた後も友達を俺んちに呼んでみんなでゲームをした。
そんなある日、土曜日に友達が帰った後、俺のカセットが無くなっていた。
パクられた。
友達を疑いたくはなかったが、それは明らかな事実だった。
俺は子供の世界での話を親にしたくなかったが、土曜日なのに夜にゲームをしないことが親に不信に思われ、結局は話さざる得なくなり、その話は直ぐに親同士で拡まった。
それから1時間もしないうちに犯人が見つかり、その日の午後9時頃に親と共に謝りに来た。
友達がそういうことをしたのが信じられなくてショックだった。
その年の春休み前にその友達は親の都合で転校してしまった。
そして、新年度になってから一人の友達が俺に謝ってきた。
「カセット盗んでごめん。返す。本当にごめん。」
俺は意味がわからなかったが、そいつから返してこないと親に怒られるからと言われて、受けとるしかなかった。
そんなわけで、今でも俺んちには同じカセットが二個ある。
当時の友達とは今では連絡もとれず、あの時の真相を知ることは出来ないが、俺には、どちらかが嘘を言っているとも思えない。
何故なら、帰ってきたときのゲームの進行具合がどちらとも全く同じだったからだ。
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