第3頁「電話ボックス」
俺は、電話ボックスにはなるべく近寄りたくない。
今の若い連中は知らないと思うが、昔の公衆電話には、電話本体や電話ボックスの中にその公衆電話の電話番号が書いてあり、公衆電話を鳴らすことが出来た。
それを悪用し、夜中に公衆電話を鳴らすなどのイタズラが多くあったため、公衆電話の番号が記載されなくなり、それにより生まれたのが「公衆電話が鳴る」という都市伝説だ。
しかし、俺が公衆電話に近寄りたくないのはそれとは一切関係ない。
それは携帯電話が一般人に普及し、公衆電話や電話ボックスの設置数が一気に減り始めた頃のことだ。
その日、俺は地元の駅で飲んだ後、家への帰り道を歩いていた。
その途中、俺の家の近所ではそこにしかない電話ボックスの中に女が居るのが見えた。
女は髪が長いということ以外は特に目立つところのない普通の女だった。
(こんな時間に女が公衆電話使うとか珍しいな?)
そう思いつつも、珍しいだけでおかしなことでは無かったので普通にその電話ボックスの前を通過しようとした時だった。
「お前のせいだァァァァァァァァッ!!!」
女はそう言って公衆電話のガラスに貼り付いて怒鳴ってきた。
怒鳴られる覚えのない俺は意味がわからず全力で走って家まで逃げた。
あれが単なる酔っ払いなのか、狂った女だったのか…それとも
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