第2頁「着信なし」

 何年か前、当時付き合っていた彼女と二人で俺の部屋で夜中にホラー映画を観ていた時のこと。


 その映画は、幽霊から電話があり、着信履歴だけが残るという内容の日本のホラー映画だった。


 ピピピピ…

 ピピピピ…


「うわっ!」


 ちょうど最初のが終わったときに俺の携帯がなり、彼女と二人でしてしまった。


「ちょっと!マジやめてほしいんだけど!」


「ごめんごめん…悪いけど、ささっと電話済ませるからちょっと待ってて。」


 電話は彼女もよく知っている俺の一番仲が良い友達からだった。

 電話の内容はへの誘いだったが、彼女と二人でいることを伝えると、またの機会にということで話は落ち着き、直ぐに電話を済ませるとまた映画を観始めた。


 そして、後日。

 彼女が女友達と飲み会に行っているときに俺の部屋でその友達と呑んでいて、つい先日の電話に文句を言っているときだった。


「マジでから。あのタイミングでかけるとか、お前ほんとによ。」


「は?なにそれ何の話?ぜんぜん知らねんだけど?」


(…ったく、こいつ俺が易いと知っててからかってやがんな?)


 のもだったので、俺はその友達に着信履歴しょうこを見せようと携帯を取り出した。


「お前なあ、ようとしても携帯には着信履歴が残って………」


 にはそいつから着信履歴は残っていなかった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る