西が丘高校生徒会の非日常 ~或いは文妻VS生徒会長~ ②
翌日。関係者を次々に生徒会室へと召喚し話を聞く。
男子空手部長、
「練習には真面目に参加するし、ほら、あの、幽霊部員条項?活動の過半数に参加しなければならないって言う基準もクリアしていますよ。入部届け? さぁ、提出してるんじゃないですかね」
ちなみに、召喚したのは男子部部長だけだったのだが、なぜか女子部部長、
調理研究会会長、
「実習の時にはほとんど来てるし、きちんと活動してますけど……入部届け? そもそも、研究会に必要でしたっけ?」
茶道部部長、
「ただでさえ部員が少ないのだから、こんな些事でまで手を煩わせないでいただきたい。入部届け? 自分も出した憶えがないが」
写真部部長代理、
「部長が不在なのでわからん。活動はしている」
占い研究会設立希望者、
「予算とか要らないので、何とか認めてもらえませんか? これだけ活動記録も出来ましたし。何とかお願いします~」
「……最後のはなんだ」
「え~、件の文妻の関係者と言うことで呼びましたが、関係なかったようですね」
長机に横に並んで座ったまま、いい加減我慢の限界、という表情の会長の横で、極力無表情に影山が言う。
「どいつもこいつも、のらりくらりとこちらの追及をかわす。選りにも選って、何故こんな曲者ぞろいなところばかり渡り歩いているのだ」
パイプ椅子が倒れんばかりに後ろにのけぞる。
「それは、まぁ……」
ちょっとつついたら倒れそうだな、と思いながら口を開く影山だが、その先をなんとなく言いよどむ。無論、キレモノの会長が聞き逃すはずはない。
「それは、まぁ?」
「彼自身が曲者だからじゃないでしょうか」
会長の眉間に、底が見えないほどの深いしわが刻まれる。
「カゲマル、まさかとは思うが」
ここで言葉を切って、ゆっくりと、ゆーっくりと、会長は影山に顔を向ける。影山は正面を向いたまま、無表情を装っている。目が泳ぎかかって我慢しているのが見え見えではあるが。
「お前、文妻と知り合いか?」
「えーっと、一応、中学では同じクラスでした」
それは一面の事実。彼と文妻は、季節に一度程度は遊びに行く仲である。
「何故早くそれを言わんのだ」
「特に有用な情報とも思えませんでしたので」
主に、影山にとって、である。
「有用かどうかは私が判断するといつも言っているだろう。些細なことでも報告は欠かすなと、常に口を酸っぱくして言っているはずだが」
「仰るとおりです」
影山、ここは全面撤退を選択。
「とは言え、訊く事が出来るのはせいぜいが人となりか。そのあたりはもうじき来る本人に当たるのが一番だろうな」
矛先がこちらに向かなかったことに、影山が内心で胸をなでおろすや否や、生徒会室の扉がやや乱暴にノックされた。本日最後の召喚者、文妻本人の登場である。
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