第80話卒業2/3

卒業2

卒業2


そうこうしていると・・・・・・あいつらが純のところにやってきた。

武村の目が一瞬キュっと細くなり、あいつらの方を向く、純がキリっと『あの村井さん』に変わる。

3人が俺達を睨んでから、純の方を見て、五条と工藤を先頭に山下がその後ろをついて歩いてくる。

よく見ると五条も工藤も制服のボタンが全部なくなっており、両手に大きな紙袋をもっている、後輩や同学年の女子からのプレンゼントなのだろう。

「やあ、君たちはいつも一緒の仲良しなんだね~」 

「そういう五条達もいつも一緒の仲良しなんだね~」と言い返した

「何? それは皮肉?」五条の顔がギリっと

「え? どうして?」俺はとぼけて

「・・・・・・イヤ、別に、ただの挨拶だよ」

「そう、俺もただの挨拶だよ」

「そう」

「そう」

「村井さん、合格おめでとう、国立女子大だって?」

「うん、五条君ありがとう、五条君は?」

「うん、僕は体育推薦で 体育大学に決まっていたからね」

「そう、それは よかったね おめでとう」

「ああ、ありがとう」

「ところで、村井さんは国立なのにどうして私立コースに行ったんだい?」

「今更・・・・・・」俺がボソっと言うと、工藤がキッと俺を睨んだ

「別に、今更いいんじゃない?」と純

「まあ、いまさらだけど」

こいつらが何を言いたいのかわからなかった俺はイライラしてきて、思わず口をはさんだ。

「なあ、五条、お前、何が言いたいの?」

「いや、別に大したことはないけど、せっかく村井さんと仲良く楽しくやってきたのに、途中から、変な奴らが入ってきて、3年のコースで国立志望なのに私立コースにまで、僕たちと別々になったのが、どうも府に堕ちなくてね」

「変な奴らって・・・・・・何それ」あの村井さんに。 

「失礼、変な奴らっていうのは言い過ぎた。

まあその、いままで接点のなかった連中が僕たちの仲を引き裂いたっていうか、そんな気がしてね、本当に村井さんは今のままで良いのかなって心配でね、もしそうなら、僕たちがなんとかしなきゃあって思ったからね」

「五条君、たしか2年の時にも言ったと思うけど、私がかっちゃんを好きになったから、かっちゃんと一緒にいたいからこうなっただけだよ、それにいっちゃんはもともと幼馴染だし、修学旅行で田代さんと中野さんと仲良くなったんだし、それに、あなた達と仲良くしていたのって学校の中だけじゃない?今の私達みたいな関係じゃなかったけど?」

「でも、それって3年から同じコースの同じクラスになったからじゃないのか?」

「あのな」俺が割ってはいろうとしたら、武村が俺を制する。

「五条、お前らいいかげんにしろよ」

五条達がビクっとして武村を見ると武村は続けて、

「2年の夏休み明けに純が彼氏が別れてくれなくて怖いって言ってた時、相談に乗ったのか? 2年の文化祭の時、須藤がカフェに来た時、山下、お前何した? そんな男に純がたった1人で別れ話をできると思うか?それだけで別れられたと思うか? お前ら何もやってないだろ、純が須藤と別れたってわかると変な誘いばっかりして、そんなのが仲良し?どんな仲良しだ?」

「・・・・・・」武村が怖いのか、言い返せないのか、あいつらはなにも 言えない。 

「お前ら、俺と話すの今日が初めてだよな、俺が純と幼馴染だって知った時、純になんて言った?あんなやつと付き合わない方が良い?お前たちと話した事もないのにな~」

「お前ら3人大学どこ?ちゃんと試験受けたのか?」

「武村君、たしか皆、体育推薦で体操大と帝食大と白士菅大だったと思う」と中野さんが教えてくれた。

「お前ら、なんでわざわざ国立コースなんだ? 意味ないだろ、純が国立志望だからか?」

「いいかげん、めめしいことやめろよ、誰が見たって純は高谷のことが好きだろ」

「まあまあ、村井さん、なんで国立志望なのに私立コースに行ったんだ?」

「お前たちは知らないだろうけど、高谷が受験指導してたんだよ、俺達皆にも、だから俺達は希望通りの大学に受かったんだよ、そんな事するのは高谷しかいないんだよ、お前らみたいに自分達だけさっさと大学決めて純と同じクラスで仲良く遊びたいだけのやつとは違うんだよ。

お前らがどんなにがんばっても、高谷には追い付けないんだよ、わかったら消えろ!!」

結局工藤は一言もしゃべらず五条と山下はばつがわるそうな顔をして、向こうの集団の方に消えて行った。

「武村・・・・・・ありがと」武村があんなに話したのを見たのは初めてだった。びっくりして、でも俺の機会が・・・・・・

「武村君、よかったよ、うん、せいせいした」と中野さん。 

「ほんと、すっきりしたわ」田代さん

「いっちゃんありがと」

「おおお」

「高谷」

「ん?」

「貸し」

「うん・・・・・・でも、俺も言いたかったー――ちょっと欲求不満」

「まあまあ」と3人に

卒業式で一番感動したのは武村の発言だった。

 あとから、田代さんと中野さんに武村があんなにしゃべったの初めて見たって言ったら、2人とも「普通だよ」って・・・・・・。



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