第74話いつもの日常を維持したいのに

いつもの日常を維持したいのに

いつもの日常を維持したいのに


夏休みも明けると、部活の連中も引退し、受験勉強を始めるので、推薦を狙っている連中以外ほとんど皆受験モード。

授業も、コース別、国立志望のクラスは月~金までほぼ5時限まで、俺達私立クラスは遅い日でも2時には学校が終わる。

その後は任意の専科コースと言って、要はさらに特化した受験用講義、演習があるが、

予備校に通っている等の理由を言えば、受けなくても良い。

純も私立文系コースなので授業が終わるとさっさと予備校に。

ただ予備校では共通対策の授業もあるので、純の方が遅いときが多く、その時は、俺1人予備校の自習室で勉強しながら純を待つ。

学校が休みの前日などは、4人で自習室で勉強をしながら純を待って、バクドに行って話をしたり。

気づけば夏休みに入る前頃から、武村は田代さんと中野さんと昔から親しかったかのように仲良くなっていて、

この前は、日本史の“昭和史”の範囲を3人で話しているのを見た時、あの武村が普通に話していたし、田代さんも中野さんも、それを気にせず普通に話しているのには驚いた。

俺にはいつも一言二言しか話さないのに、・・・あの2人って俺より順応性があるみたい。

俺達5人が希望する大学の日本史の試験は、昭和史、平成史がしっかり出題される。

高校の授業ではここは最後の最後にサラっと終わってしまうし、予備校でも最後の方になって、時間がなくて詰め込んで終わることが多いと去年の受験生の皆言ってるので、

俺達は予備校の進捗に合わせながら勉強し、さらに平行して近代~昭和、平成を今から勉強している。

高校でも外部模試が何回かあり、その2回目が終わった後に文化祭。

去年は須藤と決着をつけ、正式に純と付き合うことを公表できることになった日。

(実際にはしばらく秘密にしていたけど)

2人にとっては、とても意味のある日。大事な記念日と言っても良い。

俺達2人は文化祭より記念日に何をするかで盛り上がって、3人は文化祭をいかに手抜きをして、でも最後の思い出だから・・・・・・しっかり・・・・・・葛藤している。

3年の出し物を何にするかを決めるためクラス委員が前に、実行委員の選考、純は目立つから・・・田代さんも中野さんも綺麗でおとなしいけど真面目でちゃんとしているという評判だから3人から選ばれる可能性が高い。

特に男子はこの3人と一緒に委員になりたくて、という下心があって大変だった。

純なんか彼氏がいるのに、でもその彼氏は総合200位くらいで頭悪くて、それなら俺の方が、って思われていて、自分の方が優れているからチャンスがあるとでも思っているのだろう・・・・・・。

あのカーストトップの3人は皆国立コースだから、実行委員にならなければ会わないけど、男子の多数が純を推薦し、純になってしまった。

泣きそうな顔で俺を見るので、しょうがない俺が自分から立候補。

他の男子数名はそんなのを無視して、俺が、俺が、って立候補してくるので、恥ずかしいけど思いっきり言った「純は俺の彼女なので、どうせやるなら一緒にやって、高校最後の思い出を作りたいから、どうか皆さん協力してください」

数名の男子からは、いや~なヤジ、でも女子のほとんど皆が賛同してくれ、俺に決まった。

武村と田代さんと中野さんが積極的に拍手をしてくれ、助かった。

純と俺が教壇の前に出て、困った顔をしていたら、田代さんと中野さんが終わってから、慰めてくれた。

そのままクラスの出し物を何にするか、を決める事に、俺達としてはなるべく手間のかからないもの、しかしどういう訳か、劇とかお化け屋敷とか・・・・・・3年は受験勉強なんだからそんなに時間が・・・と思っているのは俺達5人だけ?

「うちのクラスには美女が多いから、女子にウェイトレスを担当してもらえば、カフェをすればかなり盛り上がると思う。

今までの文化祭を思い出してほしいんだけど、劇が体育館で行うから、見ない連中も多いのにもかかわらず準備や練習、セット作りなんかもあって結構大変だし、お化け屋敷は、せっかくの美人達の持ち味が生かせない。

だから俺はカフェを進めるけど、どうだろう?」

武村と田代さん、中野さんが大きく拍手してくれ、最初はブーブー言っいた男子も、俺の意見に頷いてくれる連中がパラパラ出始め、武村が回りをギロっとにらみながら拍手してくれたので静かになり、女子は田代さん、中野さんが拍手しているのを見て、パラパラと拍手してくれた。

俺はそのまま、どんどん話を進め「では、このクラスはカフェという事で決定しました」と言い切った。

一番楽なのは、おそらくカフェ。

最初、何かを展示して、それでおしまいというのも考えたが、そうなると、おそらく純の手が空いた時、純に絡んでくる輩が、そして一緒に回ろうというお誘いが殺到する?そう考えるとカフェ。

飲料、食料の手配さえできていれば、当日の接客だけ、“売れ切れ完売”で早めに店しまいすれば良い。

メニューも内装もこだわらず、机と椅子を並び替えるだけ。

トップカーストの1人、竹下さんは隣のクラスだけど

こっちにはNO.1の純、田代さん、中野さんという美女3人がいる。

なんたって、純は彼氏持ちなのに今だに1年や2年の男子から告白されてるし、田代さんや中野さんも何回か違うクラスの男子に告白されてるみたいだ。

そんな3人がいるだけでインパクトは十分。

そう言うと皆が納得、俺は正々堂々と純に絡んでくる輩を排除できる。

なんとか話合いが終わった。

実行委員会の集まりに、クラスの出し物を報告できるところまで行ってホッとしていると、武村と田代さんと中野さんが教壇までやって来て、「村井さんだから、こうなるかと思っていたけど、高谷君が立候補して宣言したのは正解だと思うよ。良かったんじゃない、私達も手伝うからやるしかないわね」

「うん、ありがと」

「まあ、こうなるわな」と武村。



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