第48話バレンタインデー -純 私もうダメ

バレンタインデー -純― 私もうダメ

バレンタインデー -純― 私もうダメ


冬休みが終わり1ヶ月もすると、バレンタインデー。

今日は2月14日、私は帰りに、駅の改札を出ていつものようにかっちゃんに抱き着きながら一緒に帰る。

最初はどこかファミレスとかバクドに寄ろうかって言われたけど、やっぱり私の部屋で、・・・愛してほしかったから、私の部屋に上がってもらった。

2人でベッドに座って、気になっていた、さりげく聞いてみた「ねえ 今日 チョコレートもらった?」

「うん、普通の市販のチョコ、義理チョコって言ってくれたよ」

「何個?」

「4個」

やっぱり……あの2人以外にもいるんだ、きっと、あの時のお守りの子。

「そんなに?」

「でも、あのバレンタインデー用とかじゃなくていつでもコンビニに売ってる市販のよくある普通のだよ」

「誰から?」

4人の名前を聞いて、違うクラスの子もいたけど、いつも何かあればかっちゃんに話しかけてくる女子、かっちゃんの誕生日にお守りをあげた子だった。

いつもそれを見かけて、モヤモヤしていた、あの女子達。

やっぱり かっちゃんに近づいてくる子は、そういうスタンスなんだ、と思った。

でも、なんとなくわかる、かっちゃんってそういうタイプ、仲良くなって、気になりだして少しづつ近づいて、もっと親しくなって、付き合う前に 一緒にあそぼって言って、でも実は中身はデート。

そして彼と親しくなって、学校には内緒でバイクなんか乗っていてこの人何?でもちゃんと勉強もしてこんなに早くから予備校に行って将来のことも考えていて、ただ親しみやすいだけじゃなくて、ちょっと秘密があって、でもしっかりして、イケメンじゃないけど、よく見たらちょっとかわいいし、一緒にいると楽しいし何故か落ち着くから、どんどん気になって何回かデートを繰り返してたら居心地が良くって、それから、バイクに乗せてもらったりなんかしたら、もう、ずーっと一緒にいたいって思うようになって好きになっちゃう。

……私とおんなじ……

でも、それが一番やっかい、私に告白してくる人は、その場で断れば良いけど、そういう子って断るタイミングがないから、親しくなって一緒に遊ぼって言われたら、そのまま気軽に遊んじゃう、断れない。

それって他の人から見たら間違いなくデートだもの。

それを考えたら、どんどん胸が苦しくなって、思わず 「そんなのイヤ」って言ったら

かっちゃんはちょっと驚いて「どうしたの?」

私、恋って初めてだから駆け引きとかできない、だから全部そのまましゃべっちゃう。

「あのね、チョコあげた4人って皆かっちゃんの事好きなんだよ、きっと」

「えっ? でも義理チョコだよ」

「この前のお守りの女子でしょ?あのね、その子達ってチョコあげたのかっちゃんしかいないと思う、市販でも義理でも

 あの子たちはチョコ1個だけ、バレンタインデーのチョコをわざわざ用意するとかしないの、だから市販のチョコなの」

「そうなんだ、でも、俺は純だけだよ」

「うん、でもその子たちが一緒にあそぼって言ったら?」

「場合によるよ」

「それが、実はデートだったら」

「ん?」

「私との最初出会ったころを思い出して。私も最初は、かっちゃんと付き合ってないのにデートしたでしょ、最初は水着を一緒に買って、そしてプールに行って、映画を観て、3回デートしてるよ」

「そう言えばそうだね」

 「私と同じなの、最初はかっちゃんの事が気になりだして、デートして、バイクの後ろに乗せてもらって、何度かデートして、そしたら本気で好きになっちゃうの、だからきっとその4人もおんなじ」

「そっか、わかったよ、2人にはならないように気を付ける」

「うん、私以外とそんなことになったらいや」

「ひょっとしてヤキモチ?」

「‥‥・すごく胸が苦しくて・・‥‥気持ち悪いの」

「そっか、絶対そんなことしないから、何かあったら全部話すから」

「うん」

「でも 「「あの村井さん」」 が俺にやきもちなんて、うれしい」

「いや!そんなこと言わない、ねっ」

つらそうな顔をして、必死になってかっちゃんを見ているのが自分でもわかる、かっちゃんはそんな私を見て

「うん」 今まで人を好きになった事なかったから、特にそうなんだろうな~ って

「ほんとは先にチョコもらいたかったけど」そう言ってそのまま抱き寄せてキスをして、そのまま押し倒され・・・・・1つになって、思いっきり愛し合う。

((かっちゃんが愛してくれる、かっちゃんが私を天国に導いてくれる・・・

・・・まだ呼吸が整っていないけど、それでも、かっちゃんの胸に顔を埋めて、かっちゃんの汗の匂いを嗅ぐ、良い匂い、落ち着く))

やっと落ち着いてきた、かっちゃんに「イヤだよ、かっちゃんと離れたくない」

「離れないよ」

「でも、不安なの、ずーっと一緒にいたい、離れたくない」そんな事を言うと、かっちゃんはつよく抱きしめてくれた。


――SIDE-克己

2月14日、学校ではちょっとした騒動、

トップカーストと昼休みの取り巻き連中が、やたらと純にからんでいた。

「村井さんって誰かにチョコあげるの?」

「うん」

「誰?」

「ひみつ」

これで終われば良いのに、工藤なんかはまだあきらめられないのか

「純、今日学校が終わったら、2人で会わないか?」

「どうして?」

「だって、今日はバレンタインデーだろ」

「だから?」

「だから、2人で」

「その相手、工藤君じゃないわよ。今日は彼と会って、彼にチョコレート渡すから」

「・・・・・・」

「工藤君、あまり変な事言わないでね」

純は、しっかりと、きっぱりと断ってる。

でも、いつまでもこういうのは良くない、ちゃんと公表しなくてはいけないとは思うけど・・・・・・あいつは今の所おとなしくして純の前に現れないけど・・・・・・卒業までに何をしてくるかわからないから・・・・・・警戒しすぎかな‥‥‥。

純の部屋。

純が、俺が誰からチョコをもらったかしつこく聞いてくる。

ただの義理チョコだから、って説明しても・・・・・。

あんなに真剣に・・ヤキモチ・・うれしいな、

俺は真剣に、ちゃんと俺の意思を示すんだ。

こんなに好きなんだっていう事を形にして・・・・・。



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