第46話クリスマス2/2-ご両親にご挨拶

クリスマス 2/2 -ご両親にご挨拶


一応進学校、昔から土曜も午前中まで授業がある。

今から緊張しては、思うけど、・・・全然授業が頭に入らなかった。

午前で終わりなのに、とても長く感じ、やっと学校が終わって急いで家に帰る。

夕方に純の家に行く前、服装とか髪型とか・・・・気になって何度も鏡をみて・・・

ちょっと早いけど家を出る。

着いたら約束の時間より2時間も前だった。

どうしようか・・・・純が家から出てきたので、俺が来たのがわかったの?って驚いていたら「バイクの音がしたから、来たのかなって思って外にでたらかっちゃんがいたの」そう言って、俺の口にキス。

最初の頃は頬にキスだったのが、最近は何かあると唇にキス・・・・うれしいんだけど、ちょっとハズカシイ。

「ちょっと早いけど、大丈夫、入って」手を引っ張られながら、家に、そのままリビングに通されると、父親がソファーに座って、母親はキッチンで料理の最中、

「おじゃまします」、母親はキッチンから「いらっしゃい」

妹が2階から降りてきて「こんにちは」って挨拶してくれたけど、父親は無視・・・。

純は「こっちに座って、今コーヒー淹れてくるから」と言ってキッチンへ、1人気まずいけど。言われたとおりに座ってじーっとしている。

純の父親と純と俺・・・妹が降りてきた・・・・でも沈黙。

母親が一段落したようで、リビングに来て、父親の横に座る。

「はじめまして、私、純さんとお付き合いをさせていただいている、高谷克己と申します。

純さんとの交際を報告するため、ご両親にご挨拶にお伺いしました」

「フフフ、そんなに硬くならなくても大丈夫よ」

「はあ」

「ほら、お父さんも何か言ったら?私は昨日会ってるけど、あなた、初めてでしょ?」

「ああ」

「ごめんなさいね、純が彼氏を連れてくるの初めてだから」

「はい」・・・こういう時は何を話せばよいんだろう。

「純が彼氏を紹介したいっていうから、びっくりしてるのよ、うちは娘が2人でしょ、父親はもう大変なの」

「今日は顔合わせ、っていう事でいいでしょ、ね、あなた」

「・・・・・・」

「あ、いや、でも・・・」俺はちゃんと親公認で正式に付き合いたいと言いたかったけど、

「わかってるわよ、純から聞いてるから、大丈夫よ」

「はい」

純がにっこり、こっちを向いて頷いてくれたので、純の母親は、この場でお義父さんの神経を逆なでする事を避け、俺が真剣に純と付き合ってることを承諾してくれた。と俺は解釈し、純を見るとニッコリ頷いてくれたので、ほっとしてコーヒーを1口飲んだ。

かなり緊張して何を話してるか、その時は全然頭に入ってなかったけど、ようやく落ち着いて、母親の言っていた『初めての彼氏』・・・って言う事は前カレのあいつは挨拶に来ていないんだ、それとも純が呼ばなかったのか?       

両親は仕事で夜遅いから、会わなくても付き合う事はできるし・・‥‥野球部のマネージャーの事は知ってるのか?とか、そもそも前カレのあいつのことは知ってるのか?・・・気になる事が頭の中を駆け回っていた。

「私たち、毎日仕事で遅いから、純達とあまり話をしてなかったの、それが純から話したい事があるって言って来たから、何があったのかな?ってね」

「そうしたら、高谷君の事で、もう、純が一生懸命話すの、びっくりしちゃったわ、たいていのことは、純と恵の2人がしっかりやってると思っていたけど、彼氏の事をわざわざ言ってくるなんてね~、よっぽど気に入られたのね」

「はい、ありがとうございます」

「純の事、よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

この場は全部お義母さんが仕切って、結局父親は終始無言で終わった。

「じゃあ、ご飯にしましょうか」

皆で食事をして、最後にコーヒーとショートケーキ。

純は、前カレの話もしたらしく・・・あの話はしなかったみたいだけど、俺と純の間で解決していれば問題ない。

俺とのことも最初のころから話したみたいで、俺が話さなくても、十分にわかってもらえた。

父親の事(機嫌)が気になるので、この日は純の部屋に行かず、そのまま帰る。

帰り際、純にクリスマスプレゼントと言って、バイクの後ろに積んでいた箱から小さな箱を出して渡した。 

「本当は2人きりの時、ちゃんと渡したかったけど」と言ったら、

「ううん、いいの、ちゃんと両親に挨拶できたから、来年はそうしようね」と言って純もプレゼントを渡してくれた。

始めてのクリスマスは、普通のカップルのクリスマスではなく、お互いの両親との顔合わせだから、まあ2人ちゃんと付き合うんだから、それが一番大事、という事を純も思っているみたいだから、良し。と思った。

普通、目の前でお互いにプレゼントを開けて、喜んだり、お礼を言ったりするんだろうけど、2人、ウンと頷いて、そのままプレゼントを開けず、キスをして帰った。

俺が純にあげたプレゼントは、勉強の時に髪がじゃまにならないようにと思い、カチューシャとシュシュ等の詰め合わせ。

妹に、『とにかく美人でモデルみたいで8.5頭身くらいの大人っぽい女性に似合うもの』、と言って手伝ってもらい、ネットで、色々見てもらって買ったけど、まあ純なら何をつけても似合うだろうけど。

純は俺に、ドイツ製の製図用のとても書きやすいシャープペン。

実は、高校入学の時、親が入学祝で同じような製図用のシャープペンを贈ってくれた。グリップの感覚や芯の先端部分がとても書きやすい感じだったけど、実際に書いてみると重くてしっくりこないので、そのまま引き出しの中だった。

でも純がプレゼントしてくれたシャープペンは同じ製図用だけど、軽くてグリップも芯の部分もとても良い、ちょうど良い物があったらしくそれも2本セット。

使っている最中に芯がつまったり、なにかトラブルが起きた時、すぐもう1本出せるようにと考えて2本にしてくれた。

次の日、「考えている事は一緒なんだね」と2人してニンマリ、お互いの思いやり、それが実感でき、好きすぎて・・・・・。



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