第33話SIDE 村井 -3/4

SIDE 村井-3/4


夏休みになって夏季講習を受ける。


いっちゃんが受けるコースのスケジュールを聞いて、帰りに待ち伏せていると2人が出てきた。


声をかけて、一緒にバクドに行って雑談をすると、高谷君を知ってる女子の言うとおり親しみやすい感じで、とっても雰囲気が良くて、本当に彼女達の言うとおりの人、いっちゃんが気に入ってるのがなんとなくわかる。


今まで、私の周りの男子って言えば、野球部の主将とかサッカーユース候補、バレー部エースとか、なんかそんな感じの人ばっかりで、良くも悪くもモテるんだけどちょっと派手でやたら自慢話みたいな話ばっかりで、周りの人を見下すことがあって、私はどちらかというとそういう話を聞きているだけだった。


そういう意味では、私が自分から積極的に話すのっていっちゃん以外だと彼が初めてかも。


思ったことは気兼ねなくそのまま話せるし、ちゃんと聞いてくれて答えてくれる。


とっても居心地が良かった、一緒にいてこんな気持ちになったのって初めてかも。


それから何回か一緒にバクドで雑談して、後半の講習の間の1週間休み、3人でどこかに行きたいって思った。


本当はいっちゃんと昔みたいに話すようになったから妹も一緒にと思ったけど、でもちゃんと元に戻ってからの方がいいかなって、だから3人で。


夏だから海!でもちょっと遠いし、気軽に行ける近くのプール!私の主導で決定。


そう言えば、野球部のマネージャーを始めてから1度もプールに行ってない。


新しい水着を買おうと思って、私1人で行くとかならず変な男に絡まれる、だから妹を誘ったら、即効で断られ、いっちゃんにお願いしたらしぶしぶだけどOKしてくれたのでの一緒にショッピングモールに行くと、いっちゃんも水着を買うというから、最初にスポーツショップに行くと高谷君が1人で水着を買っていた。


その時、思わずドキっとして固まってしまった・・・・いっちゃんに後ろから声をかけられびっくりしていたら、

「行ってこいよ」って言われ、いっちゃんの「・・純、それ、好き、ってことじゃないか・・・」を思い出し、モジモジしていたら、

「ほら、確かめるチャンスだぞ」って。


「あいつ、きっとバイクで来てるから、帰り送ってもらえ」って。


私は「うん」と言って、1人 彼の所に行こうと思ったけど、なかなか声をかけられなくて、しばらく彼を尾行するような形になっちゃった、ストーカーみたい。


フードコートでご飯食べてるのを見て、なかなかすぐに声をかけられないでいると、食べ終わりそうになったので、慌てて彼のそばに行って話しかけた。


クラスにいる時のように、いつもの『村井』というキャラで。


彼に、友達から聞いた、『あ~ん』をやってみる、すっごいドキドキだけど、なんかうれしいんだよね。


水着の試着ってこんなにはずかしい、って思わなかった。


でも彼の反応を見て、一番ドキっとしたのを買っちゃった、ちょっとはずかしいデザイン。


アイスでも、間接キス、って・・・そっか、デートって楽しいんだ。


こんなデートしたことがなかった・・・高谷君とだったから・・楽しい。でもそれ以上に・・一緒にいるとドキドキするけど、うれしい。


帰りは、いっちゃんが言ってた通り 彼はバイクだった。


学校はバイク禁止なのにね。


初めてバイクの後ろに乗る、彼を後ろからギュっと抱きしめる恰好で・・・バイクが走って、彼が運転・・・、はずかしい、でもなんか彼がすごくかっこよく思えちゃって・・。


最初、ちょっとかわいいって思っていたのに、今度はかっこいいって・・・1人で2つも・・ちょっとずるい。


家について、お別れをして部屋に入ると、顔がほてちゃって……。


晩御飯の時に妹に話したら、妹はいっちゃんの事、全部知っていた・・・。私の知らない事まで、いっちゃんは最近になって出て行った母親と連絡をとった事、父親の会社を継ぐ決心をしたこと、・・・彼がいっちゃんを助けた?


他にもいろいろあるみたい・・・妹は、それが最近友達になった人のおかげだって言っていた、彼だ。


妹は、いっちゃんがあんな風になっても、2人はお互いに連絡を取り合っていたんだ・・・そして彼は、あんな風になったいっちゃんを変えたんだ。


妹も彼もいっちゃんを外見じゃなくて中身で見ていたんだ、私だけ外見で判断していた。


自分がそういうのがイヤって思ってたくせに、中身が空っぽなのは私だった。


とても自分が恥ずかしかった。


彼ともっとお話しがしたい、一緒にいたい。


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