第5話卒業

卒業


中学の卒業式、いわゆるイケメンと呼ばれる連中は同級生だけでなく、2年生からも声をかけられ、帰る頃には制服のボタンが全部なくなっている。


それに比べ俺は……まあこんなもんだ、でも俺には彼女がいるからいいっか。


中学を卒業した春休みに、以前同じクラスで仲良くなった女子で、クリスマスにお土産と言ってキーホルダーやお守りをくれたり、バレンタインデーに義理チョコと言って市販チョコをくれた女子で違う高校に行くことが決まった事がわかったらしく、電話がかかってきて、「会えない?」 と言われ、でも「彼女に悪からと」言って断ると、


「でも高谷君の彼女、この前他の男子生徒とバクドにいたよ」と言われ、モヤモヤした気分で近所のバクドナルドで詳しく話を聞くことになって、その話の後、その女子が電話してきたのが俺への好意だったという事がわかり、ちょっと嬉しかった。


その後も別の女子から同じような電話があったけど、それは彼女がいるからと言って丁寧にお断りした。


そういう事もあって、俺はバリバリのモテ男じゃないけれど、ちょっとはモテるんじゃなかなって少しだけど自信がついた。そうか、あんな感じで接してくる女子が俺に好感を持ってくれているんだ、今までそういうのがわからなかったけれど。


そうか、俺、今まで鈍感野郎だったんだ……ラブコメを読んで、なんだこいつ、こんなに鈍感ってうそだろ、って思ってたのに、俺もそうだったんだ・・・・・・。


春休みは彼女ではない何もない女子と、バクドナルドでコーラといもを食べ、彼女ではない女子と話をすることになった。


俺には既に郁という彼女がいるし、彼女たちもその事を知っているけど、友達として良いから、高校に行ってからも時々会って遊ぼうと言われ、男女一緒で大勢ならという事で、バクドで「じゃあまた」と言って別れた。


春休み、その話を聞いて彼女に会った時に、他の男とバクドにいたのか、それとなく聞いてみようと思い。


「春休みに友達とどこか遊びに行った?」


「ううん別に」


「俺の友達が、お前彼女と別れたのか、って聞いてきて……」


しばらく沈黙が続いて、彼女が話始めた。


「・・・あのね、隣のクラスの男子が、急に会ってくれって言ってきて、彼氏がいるからイヤって言ったんだけどしつこくて、バクドだけならって言って会ったの、それを見たんだと思う」


「……」


「でも、ちゃんと断ったよ、彼氏以外とこういうのはイヤだからこれっきりって言って、納得してもらったから、もうそんなことないよ」


「うん」


「やきもちやいた?」


「うん」


「うれしい、私、克己君だけだよ」


「うん」


そう言って、彼女の顔が俺の前に、そのままキスをして……そしていつものように最後まで・・・。


高校生活はもう彼女がいるし、女友達もいるから、楽しい高校生活が始まるとその時は思っていた。


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