寝る前に読む話
尾八原ジュージ
寝る前に読む話
突然ですが、これから布団に入るっていう方に、ひとつ話があるんです。
寝てる途中で目が覚めることってあるでしょ。まだ外も暗くて、全然起きる時間じゃないのに起きちゃうこと。
理由は色々ですよね。たとえば今日みたいな熱帯夜だと、エアコンのタイマーが切れて暑くなったとか、逆にエアコンつけっぱなしで寒くなったとか。一緒に寝てる人のいびきがうるさくて、なんて人もいるでしょうね。
そういうのはいいんですよ。いや、よくないかもしれませんけど、もしも「誰かに呼ばれたような気がして目が覚めた」なら、要注意です。
私は滅多に途中で目が覚めないタイプなんですが、それでも年に何回かは起きちゃうんですね、夜中に。
それが決まって、「誰かに呼ばれたような気がした」パターンなんです。
そういうときは知らんふりしてもういっぺん寝ちゃうんですが、一度だけ妙に気になってね。そのときはどうも、廊下の方から呼ばれたような気がしたんですよ。
それで寝ぼけ眼でベッドを降りて、寝室のドアを開けようとしたんです。そしたら急に、ドアノブを持った手から頭のてっぺんまで、ゾワゾワッと冷たいものが走ってね。
なんだかこのドアを開けたらまずいなって気が、無性にするんですよ。
でもこの向こうで誰かが呼んでるみたいだし、とにかくドアの向こうが気になる。寝室のドアには大抵のぞき穴なんてついてないけど、うちのは下にちょっとだけ隙間があるんです。なので、床に這いつくばって向こうを覗いたんですよ。
そしたら眼があったんです。左右ひと揃いの目が、横に並んでこっちを見てるんです。
急いでベッドに戻って、寝たふりしましたよ。だって、床スレスレに並んでる目なんてねぇ。床から頭が生えてるんでもなきゃ……。
ね。
そういうことがあるかもしれないから、深夜に突然目が覚めたときは、気を付けてくださいね。
といったところで、私の話はこれでおしまい。では、おやすみなさい。
寝る前に読む話 尾八原ジュージ @zi-yon
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