第3話

やがて見えてきたのは城かと思うほどの大きな建物。

その前に設置されたバス停に停車する。

周りの生徒に倣って少年も下りれば、それを待っていたかのように風が一吹き。

春を象徴する桜はないが、代わりにみずみずしい木の葉がざわめく。


立派な校門の学校銘板に記された「桜峠さくらとうげ学園」の名に少年の手が震える。

憧れたその門をようやく潜れるという喜びに、どうしようもないほどたくさんの感情が溢れ出す。

自分を見下ろす高い城を見上げ、ギュッと拳を握り、その先への一歩を踏み出した。




祝福しよう。

新たな希望が芽吹いたこの日を。


称賛しよう。

恐れることなく歩んだ勇気を。


描いた夢に見捨てられ、

望んだ希望に見放され、

それでも尚進むことをやめてはならぬ。


きみの行く道に光が潰えることはない。

どんな暗闇であろうと、灯りの示す方へ迷わず進め。


先で待つものに意味を見出だせたとき、

本物の願いが叶うだろう。

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GUARDIAN ─数奇な物語の一頁─ ティラミス信者 @tira_08

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