第90話「再会と最悪の選択」



「最初から話して下さい狭霧」


「うっ……信矢、怖いよ~スマイル大事」


「そうですね。接客業で笑顔は基本です。しかし今は狭霧の話なので別です」


 私はバイト先で狭霧と隣に座った頼野さんと話していた。店は夜の営業の準備時間でアニキや愛莉姉さん、そしてサブさんが準備をしている最中だ。


「話が有ると言われ待っていたら、いきなりモデルをしたいと言われれば笑顔ではいられませんよ?」


「うん。で、でもね――――「そ、その春日井さん、うちの事務所はそう言う悪いとこじゃないですから……」


「頼野さん、君が悪い人間では無いのは分かります。ですが冴木さんの指示じゃないと言う証拠は無いですよね?」


 中学生に全力で恫喝の笑みを見せる私を大人気ないと言う人間もいるだろうが私は止まらない。間違える事は二度とあってはならないからだ。


「違うの信矢、私が綾ちゃんに手早く稼げるバイト無いかなぁって言ったら色々と話してくれて読モとかならそこそこ良いかもって話に……」


「はぁ、狭霧。お金が必要なら多少は私が貸しますから」


「それはダメ、絶対に……」


「真顔で否定しないで下さい。では質問を変えましょう用途は?」


「言いたくない」


 取り付く島もないとはこの事だろう。プイっとご機嫌斜めになった狭霧は横の頼野さんですら不安そうにしている。


「シン坊それに狭霧ちゃんも落ち着きな。頼野ちゃん怖がってるじゃない」


「い、いえ。私が余計なこと言っちゃったから……」


 頼野さんも巻き込まれた形なのは分かるが例の事務所は、と言うよりも冴木が危ないのだ。


「おいシン。その冴木梨香って女はヤバいのか?」


「狭霧の怪我も無視して勧誘してくる常識知らずです。芸能界というのは、ああいう連中で成り立っているんですかね?」


 俺が苛立って言うとバーカウンターに腰掛けながらカタカタとPCを打っていたサブさんが割って入るように喋り出す。


「冴木梨香、出身は東京。経歴は高校卒業後は女優……と言っても脇役で深夜ドラマに数回出た程度、むしろ最近のマネジメント能力が評価され、現社長の谷口洋子からの信頼が厚いと……敏腕であるな」


「梨香さん少し強引だけどタレントの事を考えてくれる良い人なんです」


 確かに狭霧のことを光る原石と言ってたし大事に育てたいとは言っていたが信用は出来ない。


「それにね、読モのお仕事って単発なのが多くて人気が有れば一気に稼げるらしいから私でも……」


「そう言う上手い話は必ず落とし穴が有るんです!!」


「落ち着けシン、竹之内もさすがに話が上手すっ――――」


 そんな話をしていたらカランカランとドアのベルが鳴る。まだオープン前なのにと思っていたら、ゲンさんだった。


「盛り上がってんじゃねえか、例の蛇の……って、お前は頼野綾華!!」


「ひぅっ!?」


 ゲンさんは強面ではないが、それでも刑事に睨まれたら一般人は委縮する。最近の刑事とは違って昔ながらの刑事なので眼光が怖いのだ。


「事務所行っても令状無いからって追い返されてな、ちょうどいいぜ」


「そこまでゲンさん。彼女はうちの客なの」


「そう言う事だ。いくらゲンさんでも行儀がなってねえぞ」


 アニキと愛莉姐さんが間に入って、さらに驚いたのは狭霧まで頼野さんを守るように後ろに庇った事だ。最近忘れていた姉気質が蘇ってきたのだろうか。


「ゲンさん申し訳ありませんが今は立て込んでましてね」


「ガキ共、悪いが俺も引けねえんだよ、どんな手を使っても!!」


 そう言ったゲンさんの目は真剣だったが後から入って来た人物に止められていた。そして俺と狭霧は言葉を失っていた。


「ゲンさん、いえ佐野警部そこまでです!!」


「アキさん助かったぜ~。ゲンさんを止めて……ってどうしたんだシン、それに竹之内も……」


「「工藤先生……」」


 私と狭霧のハモった声でその場は一気に静かになった。その人は私を、いやボクを小学校の時にイジメから救ってくれた恩人だったからだ。





「こんな形で再会なんてね、久しぶりだな二人とも秋津くんから聞いていたが昔のようになってくれて良かった……」


「アキさんて工藤先生のことだったんですね……」


「えっとシン坊たち三人は知り合い……なの?」


 愛莉姉さんの声でやっと我に返った俺と狭霧、それに置いてけぼりの頼野さんとアニキ、そこでパンパンと手を叩いて注目を集めたのはサブさんだった。


「ここは説明パートが必要ですな? 各々方まずは互いに情報共有と参りましょうぞ。まずは円卓会議と行きましょう騎士らしく。円卓は有りませんがな?」


「生憎とここには騎士はお前しかいねえよサブ、騎士以外が発言してもいいのか?」


「構いませぬぞ、私は騎士以外の発言を認めぬ狭量ではございません」


 まず俺達から話そうとしたら工藤先生がその場を仕切り出した。さすが元教師で要点をピックアップして分かりやすく話してくれた。


「と、言うわけで二人には俺の不徳の致す所で酷い目に遭わせてしまった。本当に済まなかったな」


「そんな事有りません。私は先生のようになりたいと、ずっとそう思って自分を鍛えて来ました!!」


「そうだったんだ……シン。わ、私も今はシンと一緒にいられるし大丈夫です。むしろあの時は私が悪かったから」


 そんな感じで話しているとアニキが「あっ」と呟いて思わずと言った感じで喋っていた。


「だから俺が連行される時にアキさんはシンの事を気にしてたのかっ!?」


「ああ、最後の教え子が工場に放置されるのは流石にね。あの頃は各務原さんの事も知らなかったからな。だが結果的に二人に任せて正解だった」


 確かにアニキや皆さんと出会えたのは大きかったが廃工場跡って事は私が生まれる前、彼が生まれて狭霧と一度絶縁した場でも有る。


「ああ、でもあの後は……」


「信矢が目覚めちゃって、絶縁されたんだよね私……しかも信矢はその後暴走して七海先輩達に捕まっちゃって……」


「ま、シン坊が狭霧ちゃんのこと好き過ぎて暴走したっていう締まらない結果だったけどね~」


「愛莉姉さん!! そ、それはっ……」


 そこで私は自分の現状を先生とゲンさんにも話していた。アニキから聞いていたらしいが、改めて聞いて二人は絶句していた。


「まさか心が壊れて分裂するとはね……本当に俺は何で……」


「大丈夫です工藤先生、今は私も狭霧も……」


「お二人はそんなに大変だったんですね。私、そんなことも知らないで」


 今度は全く蚊帳の外だった頼野さんも俺と狭霧の過去を聞いて色々とショックだったようだ。あとは俺の多重人格についても驚いて複雑な顔をしていた。


「良いんだよ綾ちゃんも大変だったんでしょ? 私達はもう乗り越えた感じだし、そうだよね信矢?」


「そう、ですね……後は私たち次第ですから」


 散々お互いにぶつかって傷つけ合って、すれ違って、それでも今は何とか落ち着いている。自分で言ったが後は私達のいや私と俺とボク次第だ。


「まあ、坊主と嬢ちゃんの事は分かったがよ、こっちとしては蛇塚組とF/Rとの関係を探ってる最中でな」


「だからゲンさん、彼女は未成年ですから、まず頼野さんの意思を聞きましょう。昭和の捜査はやめて下さい」


 そこでまた二人が口論し出して話がまとまらずにアニキと俺が止めに入り、すかさずサブさんが入手した情報を開示していた。


「お二人共、例の栄田、失礼した頼野殿の父上の足跡ですが駅前から離れたネカフェに昨日まで滞在していたようですな」


「栄田が? そこからは分からねえのか騎士の坊主」


「これ以上となるとゲンさんお得意の聞き込みでは?」


「そうか。じゃあこっちの状況も話そう。アキ説明しな」


 そう言うと工藤先生は警察手帳を取り出し、さらにスマホもテーブルに置いて今のこの街の状況を話し出した。





「つまり現状は三つの勢力が入り乱れている。まず蛇塚組、関東中心に活動する極道組織だ。四年前に奴らの子飼いの組織と秋津くん達「シャイニング」が抗争を起こし最後は春日井くんが敵の首魁を倒し解決した。そうだね?」


「はい、先生!! 正確には第二人格の彼が滅ぼしました」


「今はその……教員では無いからな春日井くん?」


 つい小学校の時の癖で先生と呼んでしまう。だって私たちにとってはいつまでも先生だから仕方ない。


「あっ、なら自分も信矢で、工藤せっ……さん」


「いやぁ、アキお前本当に教師だったんだな~」


「ゴホン。では説明を続けます。そして入れ替わるようにこの街に拠点を置いたのが「New・F/R」。Fはフェイク、Rはリアルの略称で、昨年ゴタゴタが有って分裂して一年になる芸能プロダクションです」


 そう言って皆が頼野さんを見ると彼女はビクッとした後に少しづつ喋り出す。


「えっと、詳しく知らないんですけど本社の風美社長か谷口さんに付くかで揉めて私はマネだった梨香さんが谷口さんに付いたのでこっちに」


「お家騒動、つまりは内部で軋轢が有ったと?」


「はい。風美社長と谷口さんはよく揉めてて、あっ、私は元は本社所属で向こうの人にも引き留められたんですけど、最後は梨香さんにお世話になってたから」


 なるほど彼女も色々と有ったのだと思っているとサブさんから工藤先生が引き継いで質問をしていた。


「そのまま付いて行ったと……そして間もなく騒動から一年だね。何か事務所で変化は無かったかな?」


「たまにガラの悪い人が居ました……本社で見ない人で驚いたんで覚えてます」


「それは頼野さんの印象かな? それともヤクザを知ってるからかな?」


「え、えっと……どっちもです。父の舎弟とかに雰囲気が似てたんで、その筋の人なのは何となく分かりました」


 さすが極道の娘。でも仮に彼女がアイドルになった場合バレたらスキャンダルになるんじゃないのだろうかと俺は変な方向に危惧していた。


「ま、さすがは栄田の娘ってことか、嬢ちゃん、そんで後は何を知って――――」


「警部さん、綾ちゃん怖がってるんで先生と話させて下さい」


 するとゲンさんを遮って狭霧がプルプル震えながらも頼野さんを守っていたので私も助け舟を出した。


「先生、じゃなくて工藤さん。その……お願いします」


「そうだな。ゲンさんは少し静かにしてて下さい。じゃあ――――」


 その後も工藤先生は尋問では無く質問形式で口の重い頼野さんに色々と話を聞いて行った。


「なるほど、そうだ最後の勢力だけど彼女から聞いて分かったと思うけど頼野さんの父親の栄田とその一派だ。現状では一番危なくて行動理由も不明だ」


「確かに、でも頼野は直接襲われたんだろ? 何で護衛すら付けないんだ?」


「その、梨香さんも谷口さんも大丈夫だって言うだけで……何も」


 それを聞いてアニキと俺は黙ってしまった。状況としては三つの組織が怪しい。それがゲンさん達が追っている誘拐事件と具体的にどう関わっているかは謎。


「ゲンさん、少なくとも組抜けした奴を追えばいいんじゃねえの? 芸能事務所とヤクザがつるむなんて良く聞く話だしよ」


「確かに喧嘩王が言う通りなんだがな。栄田が組抜けしたのはここ最近、そんで蛇塚組がこの街で動き始めたのも同時期。そこに芸能事務所と来たらヤクザが隠れ蓑にしてるとしか考えられん」


 なるほど、つまり「New・F/R」はヤクザに利用されているだけで実際は蛇塚組と栄田の抗争という事かと納得していると狭霧が口を開いていた。


「あのっ、よく分からないんですけど警察なら綾ちゃんを守ってあげられないんですか!?」


「それは……難しいな。まず本人からの要請が無いし、話を聞く限り事務所も及び腰のようだからね」


 なるほど、そもそも事務所が脅されているなら協力は期待出来ないしゲンさんが門前払いされているから難しい。


「では彼女の母親からの通報という事にしてどうであるか?」


「それがな、どこに居るか分からねえんだよ」


 ゲンさんも当然考えていたようで、ぶっきらぼうに言う。そして一同が頼野さんを見ると彼女も口を開いた。


「その、母さんは体が弱くて、古い知り合いの谷口さん、いえ今の社長の紹介で田舎の診療所で静養してます」


「場所は分からないの?」


「N県の病院ってこと以外は分からない……です。月に一回は行ってるんですけど」


 中学生の自分は新幹線に乗せられた後に車で送迎してもらっていて山奥に有るという以外は分からないそうだ。


「そいつは臭うな……」


 そして再びの沈黙、そこで口開いたのはまたも狭霧だった。


「あのっ、結局は綾ちゃんを守ってくれないんですか? 昔シンを助けてくれたみたいに綾ちゃんもお願いします!!」


「狭霧さん、無茶は言っちゃダメ……ですよ。それに、やっぱりアルバイトもダメ、だと思います」


「そうだった。そんな訳で狭霧、諦めましょう」


「諦めるって何をだ? 信矢くん」


「実は狭霧がその事務所からスカウトされてて、読者モデルの登録だけでもって言われてその話し合いをしてたんです」


 そこで私は本題を思い出しこの場の全員に話しているとゲンさんがニヤリと笑って即座に口を開いた。


「な~るほど、そいつは好都合、いや大変だな嬢ちゃんもバイト先が無くなるな」


「それはどうでもいいですけど綾ちゃんが心配で……」


 やはり本音はそれか、私があれだけ反対したバイトに固執する理由は頼野さんが心配だったからか。


「それに俺達警察は役立たずだ。なあアキ?」


「うっ、俺達は出来ることを全うするだけで、今回は難しいだけで……」


 アニキや愛莉姉さんも頷いているが狭霧だけはムッとしていた。俺が見るとプイっとまた顔を背けてしまった。そして私は狭霧を気にしてゲンさんの行動を見逃してしまった。


「だから嬢ちゃんどうよ、バイト代は俺が出すから頼野の嬢ちゃんと一緒に事務所を調べてくれねえか?」


「「なっ!?」」


 俺と先生が同時に驚きの声を上げるがゲンさんは止まらなかった。


「そうなりゃバイト代も入るし、俺達役立たずの警察と違って嬢ちゃんを守れるって寸法だ。ついでに俺らも助かる正に一石二鳥どころか三鳥だ」


「私が……綾ちゃんを守る?」


「そうだ。嬢ちゃんはスカウトされてるなら簡単に中に入れる。同じ事務所なら頼野の嬢ちゃんと一緒に行動も取れんだろ?」


 そう言って頼野さんと狭霧を交互に見てゲンさんはニコニコして言った。あまりの暴論に私達は全員が思考が止まって頼野さんも茫然と頷いていた。


「そ、それは……そう、ですけど」


「反対です!! 断じて反対だ!!」


「同じくですゲンさん。大事な元教え子を事件に巻き込むなんて言語道断です!!」


 俺と工藤先生が気付くと真っ先に反対し更にアニキや愛莉姉さんも反対に回った。当然だと言っておこう、なぜならゲンさんはこう言っているのだ。


「未成年者に潜入捜査を頼むなんてゲンさん!! いくら何でも無茶だ!!」


 工藤先生の言った通りこれは潜入捜査、いや頼野さんや狭霧を利用した、おとり捜査と言っても過言ではない。


「とにかく――――「はぁ、言いたかなかったが坊主、お前の昔のヤンチャしてた時の証拠は全部残ってる。被害届を出そうと思えばすぐ出せんだよこっちは」


 俺が再び反対と言おうとした瞬間、ゲンさんは今までの温和な態度から一変して俺達を睨みつけた。


「なっ!? ゲンさんそいつは話が違うだろ!! あの件は俺らが全部被った!!」


「あの廃工場の一件はな……ただ、その後の工事現場の私闘やら細かい余罪、叩けば埃だらけだなぁ坊主?」


「そんなもの好きにすればいい、そんなの――――」


 そう、大事な事は狭霧の身の安全と、ついでに頼野さんの無事だ。しかし俺はゲンさんを甘く見過ぎていた。


「調べたぜ春日井信矢。現在まで成績優秀、文武両道で中学時代は全国模試では最高29位の秀才。高校でも大活躍で皆から信頼される生徒会副会長で正に絵に描いた優等生、でもこの件がバレたらどうなる? 最低でも停学して転校は基本だ。そう思わないかい竹之内狭霧さん?」


「え? そ、それじゃ……シンが」


 狙いは俺じゃなかった最初から狭霧を、どこまでも狡猾なんだ。狙いに気付いた俺は声を発するがそれより大声で恫喝するようにゲンさんは狭霧に向かって言う。


「聞くな狭っ――――「このままでは将来有望な春日井信矢君は日本中で一躍有名人!! 一生ネットのオモチャ。せっかくイジメが解決されても今度は日本中からイジメられちゃうなぁ?」 


「そ、そんなシンが……そんな、それだけは」


「大丈夫さ。嬢ちゃんが少ぉ~し協力してくれれば、過去は全て闇に葬り去られる。君の恋人は晴れて自由の身。良い取り引きだろ?」


「ゲンさんいい加減にしな、今までアタシらが――――「こういう時のために甘い顔してたに決まってんだろガキ共が!! 捜索願いはまだ出てんだよ!! 自宅に送還されたいかっ!! はねっ返り社長令嬢がよ!!」


 ゲンさんが言うと愛莉姉さんも黙ってしまった。まだ家出中なのかとサブさんに聞けば昔の捜索願は出されたままだと言われた。


「面倒だから全員黙らせようか? 喧嘩王それにアキ、お前らも俺の共犯だ。奴を見返す前に一緒に懲戒食らうか工藤本部長の息子さんよぉ?」


 工藤先生まで黙らされてしまったが諦めない。私の退学程度で狭霧の安全が買えるなら安いものだ。


「それでもっ――――「信矢、私……やるよ、だって綾ちゃん心配だもん」


「さっすが嬢ちゃん――――「その代わりお金は要らないんでお願いします。シンや秋津さん、それとあの廃工場の事件で前科の付いた人のを全部消して下さい!!」


「狭霧そんなこと気にしなくても!!」


「私ね……ずっと考えてた……。シンや皆に酷いことして自分だけ被害者だと思っててさ、だから何かしたい……ダメ?」


 狭霧がそんな事を……でもダメだ。こればかりは了承できない。


「ダメですっ!! 絶対にこれ以上危険な目に合わす訳には……」


「いつまでも青春ごっこ見てるほど俺は暇じゃねえから今日は帰るぜ。何日かやるから結論出せ……じゃあな」


 私が狭霧を説得しようとするがゲンさんが大声を上げて店を出て行ってしまった。慌てて工藤先生もゲンさんを追って行ってしまった。


「信矢、それに竹之内さんも今の事は忘れるんだ。俺がゲンさんを説得するから早まった行動だけはするんじゃないぞ!!」


 しかしこの数日後に狭霧は俺と奈央さん同伴であくまで三ヶ月という契約でタレント契約を結んでしまう事になった。これが最悪の選択だったと気付くのに時間はそれほどかからなかった。

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