ワンス・サドン・ア・デス ～ 沈黙のサメ令嬢 ～

サメは決して受け身ではない

　サメ突進にともなう衝撃波（ソニックブーム）を、銀髪の少女は弾い（シールドし）た。常時発動型（パッシヴ・タイプ）、しかも身体すべてを覆（おお）う魔術としては、通常（ふつう）はありえざる強度（レベル）だ。

　それを可能とするのがこの少女、“三鬼人（ストレンジャーズ）”のひとり、《虹霓（レインボウ）》のアルク・アルニムである。

　サメは旋回、再び接近（エンゲージ）を試みる。今度は無造作な突進ではない。全身のノコギリを活かして当たり判定（コリジョン）を拡大した、面制圧攻撃（ワイドアタック）だ！　芝刈り機めいた殺戮（ころし）の構え（スタイル）！

　アルクは近づかれぬように飛行しつつも、念じること三韻（トリプル・シンボル）――火焔（ᚲ）、弾雨（ᚺ）、猛撃（ᛏ）。

　ならば、放たれるは大量の炎弾（ファイアボール）、その数じつに二十！

　いかにも、《虹霓（レインボウ）》とは、七大系統魔術（セヴンカラーズ）を圧倒的到達度（ハイエンド）で出力するがゆえの呼び名（タイトル）なのだ。この程度の牽制（カービング）は造作（ぞうさ）もない！

　着弾（Ｂａｍ）、着弾（Ｂａｍ）着弾（ｂａｍ）着弾（ｂａｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）弾（ｍｍ）ッ！　だが表面装甲（サメハダ）が止めている。速度を削られつつも、飛行機能はいまだ健在。

　そして、サメは決して受け身ではない。ノコギリのひとつを取り外し、絶妙（ナイス）なヒレ・コントロールで円月輪（チャクラム）めいて投擲！　凶刃（バズソー）がアルクめがけて飛空する！　球種はカーブ！