サメは防御も回避も許さない

 落下する巨躯30m――急鮫下メガトン・メガロドン・プレス

 受け止めブロッキング受け流しパリーイングは不可能、逃げに徹しても余波アフターエフェクトまでは避けられぬ。ストリートの警句ユーモアが“大魔王から逃げられない”とうたうに同様、サメは防御も回避も許さない!


 その瞬間とき、音が鳴った。駆動音Zooooooom


 は、両手剣ツヴァイハンダーめいて長い握りグリップを持つ。


 ガードは巨大で、内部に仕掛けメカニズムがある。


 には剣身ブレイドの代わりに細長い鉄板ガイドバー。その外周を回転ローテーションするのは、数多たくさんの鮫歯めいた刃――いや、周囲に飛散していた鮫歯そのものだ!


 とはすなわち、刃歯列やいばもって攻撃をぶちかます――《連刃駆動剣チェーンソー》ッ‼︎


 ケニーが即興で造っでっちあげた❝それチェーンソー❞は、フォルテの手に渡り、けたたましく咆哮うなりをあげる!

 使いかたなど聞くまでもない。剣の代わりとして造られたならば、そのように振るえばよい――


 Gnnaaaaaaaaaawッッ!


 逃げぬ。むしろ跳躍ジャンプ。チェーンソーが暴れた。もたらされる結果は、もはや斬裂スラッシュではなく破断フラクチャーサメ穿うがち、再生をゆるさず、そのままヒレを部位破壊断ち落とす

 ヒレ・ロストによって空力エアロのゆがんだサメは宙でスピン。落下の狙いがわずかに逸れた。


 Ka-Boomッ! サメが地面に着陸ランディング好機チャンスだ。フォルテが躍りかかった。

 乱れ舞うチェーンソー、飛び散るサメ。づくり、否、ゾンビなればづくりか。駆動モーター音が、人類の反撃をげる嚆矢こうしめいて響く。

 やがて動力が尽きて刃が止まったとき、そこにメガロドンの姿はない。刺身スライスされた残骸ものが、満漢全席フルコースめいて周囲を満たしていた。


 防御と回避ができずとも、先に相手を倒してしまえばよい。


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