サメは団結する

 絶叫が飛び交っていた。市街にサメが現れたためだ。サメは団結する。

 俯瞰ふかんする者があれば、シャークリスティナの事件インシデントと関連づけたろうか? しかし現時点の市民たちにとって、これはまったく不明と不条理ナンセンスにまみれた惨劇グランギニョルだった。


 城下を騎士フォルテは走る。サメスウォームのサメは、訓練を受けた騎士ならば与しやすいイージー

 むろん、民にとっては致命的な脅威クリティカルだ。フォルテは移動を急ぎつつも、襲われている者を見ては助けざるを得ない。


 ……かくして、見通しからやや遅れて、フォルテは目的地にたどり着きつつあった。街のはずれ、一軒家が見える。


 そのとき、周囲が暗くなった。いや、が落ちたのだ――上空に、おびただしいサメ! 驟鮫スクアーロ・スコールだ!


 落ち来るサメフォーリンシャークを、盾で打ち払う。だが移動との両立は難しく、足が止まる。対するサメは、かれが目的地=民家にも降り注ぎつつある――


 Ratatatatatatatatatatatatatat!!!!


 屋根が吹き飛んだ。地吹雪じふぶきのごとく放たれたのは、サメに倍する数の金属弾――サメはすべて宙空でマグロめいてネギトロ化!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る