第6話

次の村への道のりはさっきよりも険しかった。道と呼べるような道はなく、二人は苔の生えた石の上を歩いている。大男は慣れているのかヒョイヒョイと進んでしまうが男の方はどうもうまく行かない。差が開きすぎて縛られた縄が引っ張られるたび痛みが走り、そのたびに遠くから大男の舌打ちが聞こえた。



男は大男との距離を詰めようとした時、男の背後からなにかの鳴き声が聞こえた。殺られる、大男が思ったその時男が大きく跳ねた。その時、男は背後にいた動物の正体を知った。それは熊だった。男は空宙で鞄から小型のナイフを取り出し、一回転をした。そうして、熊の背後に行きそのまま背中をナイフで切った。傷は浅かっただろうが、熊は苦しみだした。ふぅ、と大男が一息ついた時、男が視界から消えた。大男は焦って男の元いた場所まで行くと男は石の後ろ側で尻餅をついて笑っていた。気持ちの悪い笑いではない。ちゃんとした自然な笑いだった。



男は熊の背中を切ったあと、石の苔に滑って着地に失敗したのだ。男の服には熊の血がべっとりとついていた。大男は男に手を伸ばした。男は嬉しそうにその手を取り立ち上がった。その時、大きなうめき声が上がった。と同時に大男の背中を熊の鋭い爪が襲った。血飛沫が飛んだ。男はこの光景に目を疑った。大男は叫んだ。大男は思わず膝をついた。倒れるか、と思った時。大男は振り向くと方にかけていた鋭い石を熊に投げつけたところで大男は崩れるように倒れた、振りをした。すると3秒もしないうちに大男は自分の体が持ち上がった感じがした。その直後、大男は空を飛んでいた。そこで大男は気を失った。



大男は目覚めると隣で男が小さく寝息を立てていた。胸の方に手をやると包帯が巻かれていた。包帯はシワひとつなかった。大男は包帯というものを知らなかったが素人が簡単に巻けるものではないということはわかった。大男は隣で寝ている男を見るとその頭に手をやり、優しく撫でた。

「お前は、お前はなぜ嘘を付く」

男はコウモリも聞こえないほど小さな声で言った。一方男は大男が声を出したことを露知らず、深い眠りに落ちている。気持ち悪い笑顔を顔に貼り付けながら。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る