第2話

 男が目を覚ますと、鞄から懐中電灯を取り出しハーモニカのように口に咥え、再び歩き出した。なぜ、男は懐中電灯を手に持たないのか。それは今から彼が食材を探すからである。幸いにも男がいた場所は、食材がたんまりとあった。それを知ってか知らずか、男は鼻歌を歌いだした。満面の笑みで。



 男は山に入ってから、今までその表情の顔を崩していない。寝ているときも。



 男は、山にある食材を自分の目で食べれるか選別し、食べれるものはサバイバルナイフを使い、山から剥がし、自分のかばんに入れていった。彼は食材を求めてあちこち歩き回った。そして数時間後、男はチョロチョロと水の流れるところにたどり着いた。男はそこに流れる水を両手ですくうとゆっくり喉に流し込んだ。彼は痛めたように喉を押さえたが、再び男は水を飲みだした。水を飲んだ後、そこから少し離れそこに木の皮や乾いた植物、松ぼっくりなどを集め、鞄から乾電池と箱タバコを取り出した。男は箱から中身を取り出し、タバコと銀紙に分けた。彼は乾電池の両端に銀紙を接触させ、火を起こした。そして、それを木の皮などに移した。こうして男は火を作ると、山でたんまりと手に入れた食材を竹串に刺して火の回りに刺し、いい感じに焼けると口を大きく開けて満足そうに食べていった。男は三十分もしないうちにそれらをすべて平らげた。男はその後串などを炎の中に入れると立ち上がり炎が照らすギリギリの所まであるき始めた。その時、男の体がグラリと倒れた。不運にも倒れた先は崖のような場所で、男はゴロゴロと下へ下へと落ちていった。



「あ、ああ、ああああああああああーーーーーーーーーーーーーー」



 崖の下につくなり男はいきなり頭を押さえ、叫びだした。痛みによる叫び、ではなさそうだ。そしてこの時、初めて男の顔からあの気持ち悪い笑みが消えた。



「やめ、てく、れ、来、ない、でく、れ。君、等、に、も悪、く、な、い話、だっ、た、ろ」



 男は宙を見て、叫んだ。顔は青くなり、肌からは汗が吹き出し、体中がガタガタと震えている。男は地面に手を付き、後退りしようとしたが思うように力が入らない。男は再び倒れると、そのまま気を失った。




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