第119話我の側近として舞い戻るのも時間の問題




そして結婚式という怒涛の一日がようやっと終わり、初夜を迎えるのだが、わたくしの幸せメーターはクロード殿下の「綺麗だ」だの「可愛い」だの「愛している」だのという言葉の数々によりいとも簡単に振り切れてしまい、その後の口づけにより見事に大破してしまう。


流石にこの行為を映像として残す訳にもいかず思い出したいような、恥ずかしすぎて思い出したくないよう変な感じなのだが幸せで満たされていた事だけは間違いないと言い切れるので、それだけでわたくしは十分満足である。


そしてそのまま夢心地の時間が過ぎ去り幾年月。


わたくしは玉の様な男の子を出産するのであった。





「殿下っ!!走らずとも近衛兵の試験は逃げませんっ!!こけたら大変でございますので何卒お歩き下さいぃぃいいっ!!」

「そうは言ってられんっ!!この逸る気持ちを抑えられぬのだっ!!」

「リ、リロード殿下っ!!」


目の前を我に似た十歳前後の男の子が本日行われる平民参加の近衛兵志願者実践試験の会場へと風の様に去って行き、その後ろを側仕えのメイドが追いかけていく。


リーシャのリと我クロードのロード、そして我と同じ幸せを再度過ごして欲しいという気持ちが籠った名前をメイドが叫び、廊下に木霊する。


「ふふ、一体誰に似たのかしら?」

「兎に角、元気で何よりであるな」


そしてその後ろをリーシャと共に二人でゆっくりと追いかけて行く。


行く先は同じなのだ。急ぐ必要も無かろう。


因みにリーシャの腕には三才となる娘、そしてシャルロットが溺愛しているシャーロットが眠っている。


名前も似ている為かその溺愛っぷりは一周回って恐怖すら偶に感じてしまう程である。


そのシャルロットなのだが昨年、元我が草であり影でもあった者のその功績をたたえ、家名を与えられ一代貴族と成った男性へと嫁ぎ今現在妊娠中でありここにはいない。


今の彼ならば更なる功績を作り貴族として、そして我の側近として舞い戻るのも時間の問題であろう。


今から楽しみである。


「父上っ!!遅いですっ!!もう既に始まってますよっ!!」

「分かった、分かったからそう急かすでない」


そして本日行われる平民参加の近衛兵志願者実践試験なのだが我が祖父の時代から始まり『平民と言えど才ある者、やる気ある者は有効に使うべし』という意思の元魔術師、騎士団、近衛兵、等々毎年一定数雇い入れる様にしている。


所謂前世で言う国家公務員の立ち位置の仕事である。


勿論近衛兵や騎士団となると誰でも成れる訳ではなくその人物の素行から過去の犯罪歴まで我が草達により徹底的に調べ上げられる為ここに参加できるというだけでもその者にとっては箔が付き、例え落ちても仕事には困らないだろう。


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