第120話エピローグ 流石我が息子である

「十七番っ!前へっ!!」

「はいっ!!宜しくお願い致しますっ!!」


そんな事を考えながら歩いていると喧噪と共に試験官の受験者を番号で呼ぶ声と、それにこたえる透き通った女性の声が聞こえてくる。


「父上遅いですよっ!!」

「はははは、すまんすまん。さて、見学しようかね」


そして我は受験者達と試験官へ軽く手を振り、予め用意された席へと着席する。


何処となく緊張感が漂い始めた会場に彼ら達との心の距離感を肌で感じて少しばかり寂しく思うのだが、彼ら彼女らの真剣な眼差しは我が来ても変わる事なくその瞳に映し出されており嬉しくも思う。


「す、凄い………」


そしてリロードはというと、もう我が来た事等どうでも良いとばかりに試験へと釘付けとなる。


自分と同年代の、選りすぐり達を目の当たりにしてはそれも仕方のない事なのかもしれない。


恐らく男の子の部分が触発されまくっているのだろう。


自分も前世の息子位の時はそうであったなと、しみじみと思う。


「美しい………なんと綺麗で美しく、そして可愛いんだ………」


んん?


しかし息子であるリロードから出た言葉は我の思っていたのとは違う言葉であった為、思わずリロードへ目を向けてみると、そこには初めて恋をしたのだと手に取るように分かるくらい、恋の病にかかった顔をした息子がそこにいた。


「一体誰を…………ふむ、なる程なる程。我が息子ながら一目惚れとはな。しかし息子よ。いばらの道となるぞ?」


そして息子の目線の先には見覚えのある顔立ちに見覚えのあるピンクの髪をした獣人の娘が試験官と模擬戦を行っているのが見えた。


「何か言いましたか?父上」


そんな息子に俺は小言で呟き、聞き取れなかったのか怪訝な顔で振り向くリロード。


はははは。困難が多い程恋は燃えるというしな。それにこの試験に来れているという事は彼女は人としては出来た人間なのだろう。後は息子次第だ。


と心の中で思い、クツクツと思わずにやけてしまう。


「ああ、流石我が息子であると思ったのだよ」

「……?そうですか。良く分かりませんがありがとうございます、父上」


まだその苦労が分かっていない息子へ、我以上に大変そうだぞと心の中でエールを送りながらそう答えると、隣に座ったリーシャが我の手へ自分の手を添えてくると世界一美しい表情で微笑み口を開く。


「大丈夫ですわ。アナタの息子なんですもの」


あぁ、そう曇りない目で言われては三人目が欲しくなってしまうではないか。


そして俺は滾る欲情を抑え、リーシャの手を握り返すのであった。




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誤字脱字報告ありがとうございますっ!

作品フォローありがとうございますっ!

星評価ありがとうございますっ!



これにて【悪役令嬢が実は心が綺麗な良い娘であると俺だけが知っている。】は完結でございます。


初めから追いかけてくれた方、途中から追いかけてくれた方、一気に読んでくれた方、その皆様のお陰で無事折れることなく完結まで突き進むことが出来ました事を深くお礼申し上げます。


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もしよければ他作品でもお会いできればうれしく思いますっ!!


では、寂しくなりますが、皆さま、本当に、本当に、ありがとうございました。


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