第97話ブラックボックスへとぶち込んでおく

そう、これは約束された勝利なのである。


因みに味付けは魚醤ナンプラーと昆布出汁である。


醤油と味噌の製作には一応着手してはいるものの未だ納得のいく出来とは言い難い。


もしかすればヨーグルトの様に何種類も菌が存在しその配合の違いにより各種メーカーや蔵によって醤油の味が異なって来るのではと考えており、今はその菌を探し出して配合を試している所なのだがいかせん出来上がるのに一年前後は最低かかる為、予め分かってはいた事なのだがなかなかに時間がかかってしまている。


俺もどっかのチートキャラみたいに鑑定スキルと製造系スキルが欲しいと思てしまうのも致し方ないだろう。


しかしながら自分の知識を頼りに一から何かを作るというものはそれはそれで楽しく、良い体験をさせて頂いているので羨ましいとは思うもののそれらスキルが無いからと言って文句等は無い。


因みに日本酒の製造の研究ついでにみりん等も我が王国が誇る優秀なドワーフ達に製造及び研究の依頼をしている。


それらが出来上がった時、日本食の復元という俺の一つの夢がようやっと実現するのだ。


王国に日本食が広がって行くのを想像するだけでまるで少年の様に胸が躍る。


そんな事を考えながらイガを含めて様々な木の実を拾っているといつの間にか時間は過ぎ去っており、夕暮れ時となっていた。


時間を忘れて何かを楽しむなどいつ振りであろうか。


因みにお昼ご飯はフランスパンのバケットの様なパンを輪切りにした物へ鱒の塩焼きとオリーブオイルをトッピングしたニンニク抜きの即席アヒージョの様なメニューでありそれで満足いく美味しさであった。


このメニューはパンを皿代わりに使いがぶりと齧り付く為食器等が最低限で済み、日本で言うおにぎりの様にこの様な場所ではおあつらえ向きの食べ方なのだが「手で掴んで、齧り付くなんて……」と初めこそ躊躇っていたリーシャなのだが俺の「何事も体験であるぞ」の一言で決心したのかその小さな口でカプリと齧り付いたが最後(とても可愛い)その美味しさに目を見開きかぷかぷと口が止まらくなったのかぺろりと四枚も食べてしまっていた(ずっと見ていられる可愛さであった)。


因みに俺は前世ではオリーブオイルと塩だけで良く食べたものである。


そして過去に一度タコ焼き機でアヒージョを楽しもうとして周りを油だらけにした黒歴史も一緒に思い出すと同時にブラックボックスへとぶち込んでおくのであった。

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