第95話私、警告致しましたわよね?

「で、殿下………」

「どうした………っ!?」


そして彼は真剣な表情をすると俺に何かを伝えようとしてくる。


「異性にもまな板の様な胸の女性はおりま………っ!?」

「ど、どうし………た……っ!!」


そして彼は最後まで言い切る前に何者かの気配を察知したのか急に口を閉じる。


そして俺は彼程の者が恐怖するものが一体何なのか、恐怖とほんの少しの好奇心からゆっくりと彼が見ている方向へと目線を向ける。


するとそこには見るからに怒髪天のシャルロットの姿があった。


「私とした事が、昨日入浴時間を間違えた挙句、異性の入浴中に私の胸を見ておいて謝るならまだしも男性と勘違いしたこのゴミ虫を仕留めたつもりでしたが、仕留めきれなかったみたいですわね」


そしてシャルロットは「なかなかしぶといですわね」と言いながらそんな事を口にする。


「私、警告致しまいたわよね?事が過ぎれば一人少なくなるかもしれませんわ、と。まさか……殿下の草ともあろうお方があの言葉が道中のみなどと言う甘いものではない事くらいお分かりですわよね?まぁ、分からなかったなどとは言わせませんが」


成る程、シャルロットはブチキレると冷静になり、その表情は笑顔となるタイプの様である様だ。


「殿下、少し横に寄っては頂けないでしょうか?でないとこのゴミ虫を殺せませんわ」


そうニッコリと微笑むシャルロットは死ぬ程怖かった。





結局あの後俺と一緒に草であり影でもある彼はシャルロットへ頭で床に穴を開けるかの如く謝り倒したお陰で何とか許して貰える事が出来た。


寧ろ異性の、しかも侯爵家の娘の裸を見て許して貰えたのだからこの草には今まで以上にこの俺の為にキビキビと働いて貰いたい限りである。


まぁ、許して貰う代わりにその草の顔は最早原型を留めていないのだが、命あるだけ全然マシな方であると言えよう。


「では、この別荘から歩いて直ぐの場所ですのでこのまま歩いて行きましょうか」


そして今俺たちは管理人の案内の元前世で言う栗の様な物であるイガを拾いに行く為に山道を歩いていた。


クリとイガで何だか前世との繋がりを感じてしまい少し変な気分である。


因みにイガ拾いとは言っているものの拾う物はイガだけという訳ではなく、基本的には収穫できる秋の味覚全般がターゲットである。


そのターゲット達の特徴を朝食後予め管理人の奥さんとその子供達に教わっていたリーシャは早く得た知識を使って収穫して行きたいのか、やる気が漲っているのが見て分かる(それはそれで可愛い)。


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