第91話一人少なくなってしまうかもしれませんわね

リーシャとシャルロットが二人してキャッキャと姦しくも道中、馬車の窓から見える景色(主に生き物系)に一喜一憂している。


ここ最近、この二人の距離がやけに近づいている様に感じるのだが、リーシャにとっては気心知れる、親友と呼べるような人が一人でも多く出来る事はきっといい事なのだろう。


いい事なのだろうが時たまシャルロットから『ほらほら、こんなにもリーシャ様は可愛くてよっ!』とある種の自慢めいた挑発の色を含んだ目線を向けられている様な気がするのは気のせいだろうか?


そして、そんなこんな一行を乗せた馬車は山の麓で一旦停車し、ここから山道故に道が狭く馬車が通らない為に馬に乗り換えて目的の場所へと向かう。


俺の乗っている馬にリーシャも一緒に乗っており、落ちない様に俺の身体へ腕を回して身体を密着させているのだが女性特有の身体の柔らかさ、特に二つの大きな果実が女性特有の柔らかさを如実に主張して来る。


あぁ、馬が歩く度にその揺れがダイレクトに背中に伝わって来る為俺は理性を失ってしまいそうである。


もしここに俺とリーシャしかいなければ俺はとっくに狼へと変わってしまっているかもしれない。


そしてその光景を見たシャルロットはついで自分の胸の部分を見た後に目のハイライトが消えた気がした。


うん、俺は何も気付いていなかった、何も見なかった事にしよう。


「シャルロットさんが私の後ろで本当に安心致しました。他の異性の方々だと───」

「殿下の草であり影であるのならば無駄口は喋らない事ですわ。でなければ目的地に到着した時人数が一人少なくなってしまうかもしれませんわね。あ、コレでも私馬の扱いは慣れておりますのよ?貴方が居なくなっても問題なく目的地へと行けますのでお気遣いなく」


うん、何も見なかった。聞かなかった事にしよう。





「わぁー………綺麗ですわぁー………」


そして馬に乗って二時間、標高が高くなり気温も平地と比べて少し寒くなって来た頃、辺りの木々の葉は赤く染まり見事な紅葉が我々の前に現れて来たので一度馬から降りてその紅葉を楽しむ事にする。


この山は紅葉樹が多く王国一の紅葉の名所と知られているのだが、流石王国一と言われるだけの事があると、目の前に広がる光景を見て思う。


「うんそうであるな。リーシャに可憐さと紅葉の美しさが相まって一枚の絵画の様であると言わざるを得ない」

「も、もう………クロード殿下、冗談はよして下さいまし。お恥ずかしいですわ」

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