第92話思わず興奮してしまった

そう言いながら恥ずかしがるリーシャは最高に可愛いのだがそれを言ってしまうとまたシャルロットの後ろに逃げられてしまう為そこはグッと堪えて俺はリーシャと紅葉のコラボレーションを楽しみ事にする。


「な、何をそんなに嬉しそうな顔で先ほどからわたくしを見つめているんですのよ?」

「いや、何も。我に気にせず目の前に広がっている紅葉を楽しんでくれて構わないぞ」

「そう言われましても、こう、そんなに見られますと気になるものは気になりますわ………」


そしてリーシャは顔を真っ赤にしながら何処か腑に落ちない様な表情をしつつジト目で話しかけて来るのだが、それも少しの間だけで目に前に広がる紅葉へと徐々に夢中になって行く。


今までもそうなのだが基本的にこの旅行で目にするもの体験するものそれら全てがリーシャにとって初めての体験であり、そしてリーシャの興味の対象となる様である。


先程の恥ずかしがっていたいリーシャは何処へやら、気が付けばもう紅葉に夢中の様である。


「では、少し下に降りれば開けておりますしここら辺で休憩を兼ねましてお昼に致しますしょうか」


そして、我々が紅葉に見入っていた時、俺の側仕えからそんな提案を受ける。


「それもそうであるな」


側仕えの言葉を聞き麓を見下ろしてみると川が流れており、そして少し開けている場所が見える。


そこへ降りる道も見られる事から、この場所は休憩場所の一つとして使われているのであろう。


人が居ないのは我の為に今日の山の出入りを予め規制していたからだと思われる。


道案内人に聞くと、やはり普段であればこの紅葉の季節ともなればこの場所は景色も相まって常に数組のグループが休憩に使用している人気な場所の様である。


「では、休憩がてらお昼ご飯と致したいのでおかずとなる魚を殿下とそのご婚約者様に釣って頂きましょう」

「おお、それは実に楽しそうであるなっ!」


渓流釣りなど前世でも経験した事ない体験であった為側仕えの提案にリーシャ程にないにしろ思わず興奮してしまった。


しかしながら川魚などここ最近食べていない為釣る事は勿論、食べる事も今から楽しみである。


釣れたばかりの天然物の川魚の塩焼き等、前世でも贅沢の一つであった為いやがおうにも期待が膨らむと言うものである。


「ん?どうしたリーシャ?」

「いえ、クロード殿下か楽しそうにしている表情をしていたもので、わたくしも嬉しいのですわ。この旅行でございますけれども、わたくしは当然とても楽しく様々な体験をさせて頂いておりますがクロード殿下は果たしてどうなのだろうか?とふとした時思っておりましたもので………」

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