第82話真実として語られる

しかしながらそう思っているのはどうやら俺だけの様でとうのリーシャ本人は目をキラッキラさせながら(リーシャめっちゃ可愛い)他に補足情報がないのか?と聞いてくる。


今のリーシャは外の物事を何でも知りたい欲求が勝っている様で、どうやら俺の取り越し苦労あったようだ。


良いだろう。


持てる知識を全てリーシャの為に晒け出してやろうではないかっ!!





「ふざけんじゃないわよっ!!意味わかんないんだけどっ!!」


あれから何とか俺だけでも未来の子供を養う為にと始めた冒険者としての仕事を終わらし、有難い事に信頼など無いに等しい俺達でも何とか借りる事の出来た二階建てワンルームのアパートにて貯金を切り崩して購入した冒険者家業に必要な装備品の手入れをしていると、甲高い怒鳴り声と共にドアが乱雑に開けられアイリーンが帰宅してきた。


「どうしたんだよ一体?」

「アルキネスっ!!ねぇ聞いてよっ!私今日ギルド長に犯されそうになったのっ!!もう怖くて怖くて………。アルキネスっ!あのいけ好かないギルド長をボカンと一発やっつけて衛兵に突き出してよっ!!私、犯されそうになった事がトラウマになったみたいでギルド長がいるこの街だと怖くて外出られないかもしれない………」

「あぁ、そうだね。それは酷いね」


聞いた俺がバカであった。


毎回毎回良くもまぁ懲りずにバカの一つ覚えみたいにやれ向こうの貴族にレイプされかけただの、やれあそこの豪商に強姦されかけただのと言えたものである。


彼らにとってはアイリーンと寝るにはあまりにもリスクが高すぎる為今まで通り身体を武器に仕掛けてみたは良いもののその事如くが門前払いにされ突き返されただけであろう。


そもそも強姦されかけた割にはあまりにも毎回衣服が綺麗すぎるではないか。


そして彼女は【本当に】強姦されかけた、または強姦されたと毎回脳内で変換されているらしく、それら全てが彼女にとって真実として語られるからたちが悪い。


だからこそいくら矛盾点を指摘しようにも話にならない事はこの一か月で嫌という程理解した為、その場しのぎの肯定をしてあげてこの話を切り上げるのがベストであるという事を学んだ。


アイリーンはこの俺と婚姻を結んでいるにも関わらずそのパートナーに不貞を働こうとしたという事を話しているという自覚があるのか疑わしい。


そもそも道徳から駆けなはれた悪い事であると理解していないのだろう、身篭っているという事すら理解しているかも怪しい程である。


だから自分の行っている事の何が悪いのか、今この状況に落とされて尚理解できていないようで俺は頭を抱えるのであった。




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