第71話私の身体目当て

「だから訳が分かる様に説明しろって言ってんでしょうがぁあっ!」


許さないっ!絶対に許さないっ!クロード殿下もっ!この国もっ!ここにいる貴族達もっ!この私を寄ってたかって苛めてっ!権力で力無き平民をっ!か弱い女性である私をっ!弱者を苛めて晒し者にする糞共めっ!


「フンッ………醜いな、アイリーン。一度は本気で愛した女性だ、今回は情けで許してやるが次にクロード殿下へ危害を加えようとするのならば容赦無く殺す。こんな糞みたいな奴に私はまんまと騙されたというわけか………自分自身が情け無い」

「オ………オルガン?」


余りの怒りに私は思わずクロード殿下に掴みかかろうとしたその瞬間、クロード殿下の影から黒い仮面に黒尽くめの衣装をした者が出て来ると、その得体の知れない者が私の手を掴み話しかけて来る。


その声は聴き慣れた声であり、思い浮かぶはオルガンの姿であった。


「オルガンか………その者はもうこの世にはいないさ。クロード殿下、以前頼まれ手に入れた映像を持って参りました。数にして五個で御座います」


そしてオルガンであろう黒尽くめの男性は私からクロード殿下へ向き直すと五個の黒い球体を渡すのが見えた。


あの、クロード殿下が手にしている球体は恐らく映像保管球であると思われる。


それを何故今この場でオルガンと思われる男性が五個も渡すのか。


私の話は未だ終わって無いのにもう他の事へ話を変えて、私を苛めた事を無かった事にしようとしているのか。


証拠も無いのに私の手紙をリーシャが書いた物と言い、リーシャに騙され婚姻破棄までされたのだ。


このまま黙って苦汁を飲むなど許そう筈がない。


「おお、丁度良い所であったな。我が影よ。戻って良いぞ」

「かしこまりました。我が主人」

「では、ところでアイリーンよ。お主は自らの身体は未だ処女であると申しておったな?」

「当たり前じゃないっ!私は正真正銘の処女よっ!」


そしてクロード殿下は映像保存球を受け取ったと思ったら私に処女かどうか聞いてきた。


私が処女かどうかの確認を取るなど何だかんだ言ってもクロード殿下は男なのであろう。


これだから男は。


どうせクロード殿下も私の身体目当てであったのだろう。


本当、男という生き物はどこまで行ってもクズである。


「ではアイリーンよ。お主にはこの映像保存球を五個全て、特別に上げようではないか。一応忠告をしておこう。この映像保存球には君が処女では無い証拠が映っておる。帰ってから確認すると良いだろう。そしてこれと同じ映像を王家は重要な証拠として持っておる。リーシャの手紙とは言え王太子の正式な婚約者の手紙を盗み、更に偽造し、この私を籠絡しようとした美人局紛いの事をお主はしておるのだ。当然その周辺についても隅々まで調べ上げられており、この映像はお主と繋がりを持っている者に対する言い逃れの出来ぬ重要な証拠である」

「うるっさいわねっ!どうせ殿下も私の身体が目当てだったのでしょう?それならそうと言いなさいよっ!」


そして私は映像保存球を渡して来るクロード殿下の手を払い五個の球を弾き飛ばすと、落ちた衝撃で全ての球が起動し、五種類の立体映像と音が流れ始める。


それは私が五人もの違う男性へ愛を囁きそういう行為をしている映像であった。

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