第70話証明する必要
お願いっ!クロード殿下っ、目を覚ましてっ!リーシャなんかに惑わされないでっ!私の事を想っていたあの頃抱いていたであろう気持ちを思い出してっ!
そんな想いを込めてクロード殿下へ、その腕にしがみつきながら訴えかける。
しかし、私の想いも虚しくしがみついた手は振り払われ、まるで汚物を見る様な目線を、怒りの感情と共にクロード殿下は私へと向けて来る。
「君は、さっきから一体何を言っておるのだ?」
「ま、毎日私はクロード殿下へ、愛を綴った手紙を渡していたではありませんかっ!そしてクロード殿下はその手紙を愛おしそうにしながら毎回受け取っていたではありませんかっ!?」
「あぁ、リーシャの書いた手紙の事を言っているのか?愛おしいリーシャが書いた手紙なのだ。愛おしいと思って当然であろう。いつも蔭に隠れて我に渡そうとしているのがバレバレでな、一体いつ渡してくれるのかと思っておったのだが一向に渡して来ぬから諦めておったのだが………君には感謝しているよ。リーシャの事である。手紙を墓場まで持って行くのではと半ば諦めておったからな」
「…………リーシャの手紙……へ?で、でも私のサインが………」
「このミミズがのたくった様なサインを書くような者がこんな美しい文字で本文を書ける訳なかろう?それに、この手紙にはリーシャの指紋がついておる。更に筆跡はリーシャのものであるし、少しばかりリーシャの匂いも………んんっ!!と、兎に角この手紙にはリーシャが書いたと言う痕跡が至る所に散りばめられておるという事である。幾らサインだけ君の名前を書こうが誤魔化せるものでは無いのだよ」
「い、意味わかんない事言わないでよっ!その手紙には私のサインが書いてあるから私の手紙でしょうがっ!何でそれがリーシャの手紙になるのよっ!解る様に説明して見なさいよっ!!」
意味が分からないっ意味が分からないっ意味が分からないっ意味が分からないっ意味が分からない意味が分からないっ!
指紋?筆跡?そんな意味が分からないものであの手紙がリーシャの書いたものだと、どう証明出来ると言うのだっ!?あれは正真正銘私が書いた手紙だっ!!
そんな事も分からないのかっ!クロード殿下はっ!
「ふむ、そんな物君が理解する必要があるのかね?」
「…………え?」
「我はあの手紙がリーシャが書いたものだと言う事が筆跡、指紋などで解るし、それらが覆り様の無い非常に強固な証拠である事も我は理解しておる。それで十分であろう?お主がその事を解らない、理解出来ないと喚くのも結構。しかしそれはお主がただ単に、自分は無知であると声高々に叫んでいるだけに過ぎぬ。解らない、分からない、理解出来ないと叫んで損をするのはお主だけでは無いか。………証明する必要があるのかね?恨むならば無知なお主を恨むが良い。決して我やリーシャでは無い」
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リーシャちゃんは別の意味で修羅場ですっ!
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