第66話悲痛な叫び声
やっとここまで来た。
今日この日の事を思えばこそ、今までの苦労を耐えて来れたのである。
「さぁ、行きましょう。クロード殿下」
「…………………あぁ、そうだね」
あの日より言えなかったクロードのお名前を口にすると、クロード殿下は少しだけ長く沈黙した後柔らかな笑顔を見せ、それを咎める事もなくダンスパーティー会場、そのホール内へと向かい始めた。
あぁ、私は間違いなくこの王国中、いや世界中で今一番幸せであると断言出来る。
そして私はクロード殿下の腕に、私の腕を絡め───
「何をしようとしている?貴様如きがクロード殿下にお触れして良いとでも思っているのか?」
───ようとした手を、まるでハエでも追い払うかの如くモーデルの手で叩かれる様に弾かれる。
そしてその間にロイドが私とクロード殿下の間に入り私がクロード殿下の隣りを歩けない様に妨害して来る。
「い、痛いっ!?」
「モーデルっ!貴様っ、今俺の婚約者に何をしたっ!!」
クソが。
ここはクロード殿下が私を庇う場面であるというのにアルキネスがその役割を横から掻っ攫って行くではないか。
本当、最後の最後まで使えない。
それどころかここに来て邪魔ばかりしやがる。
コレだから使えない男は嫌いなのだ。
脳味噌が入っているのかと疑いたくなる。
「お前こそ何の為に今そこにいるんだ?クロード殿下の護衛ならば護衛らしくどこの馬の骨かも分からない者をクロード殿下に近づけるなど何事であるか?そしてこの話を何度話せば貴様は分かるのだ?」
「お前こそ何も分かっていないではないかっ!アイリーンの事を知りもせず、理解をしようともせず、何故彼女がクロード殿下に危害を加える可能性があると言うのだっ!?この件については俺は何度も貴様に申しているはずだろうっ!!」
「………馬鹿に効く回復魔術は無いとは言うが、ここまで貴様が馬鹿だったとは」
「も、もう止めてっ!私の為に争わないでっ!」
そしてアルキネスとモーデルが争い始めた為、私は悲痛な叫び声で二人を止めに入る。
そんな私を見てアルキネスは直様私の元へ駆け寄ると心の底から心配してくれているのだがモーデルは一度私を見た後鼻で笑うとそのままクロード殿下の護衛へと戻って行く。
まぁ、良いでしょう。
そう粋がってられるのは今の内だけだと、そう思えばこそ私はモーデルへ優しく接する事が出来るというものである。
私が王妃となるまでの間だけでもそうやって能天気に暮らしていけば良いのだ。
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