第53話気付かされた
「ではもう一度言おう。モーデル、お主は何故ここ最近学園を休んでいるのだ?お主の役割は我の側近であろう。体調不良などならば仕方ないとは思うのだが何も無いのならば明日から登校し、今まで通り我の側近として仕えたまえ」
そしてクロード殿下は怒るでも無く俺の為にもう一度、先程と同じ事を繰り返し申してくれる。
「し、しかしクロード殿下。クロード殿下もお察しの通り私の父上は大罪人でございます。その息子である私がクロード殿下のお側にいてもクロード殿下にはメリットどころかデメリットしかございません」
確かに俺はクロード殿下又は国王陛下からクロード殿下の側近を辞めるように言われている訳でもない。
そんなクロード殿下だからこそ、俺自身がクロード殿下の名を貶めてしまうという事が耐えられないのだ。
「ふむ………そうであるか」
そしてクロード殿下は俺の話を聞き、神妙に頷いた後、続けて話始める。
「お主の言わんとする事は理解したし、そうではないかとも思っていた。しかし我の側近と言うのはそなたの一存で辞めて良いようなものであるのか?」
「い、いえっそんな訳では………っ!」
「しかし今そなたが申した内容はそういう意味であろう?偉くなったものだな、モーデル」
「で、ですが…………」
「まあ確かに、お主の言わんとする事は分かる。しかしそれがどうしたというのだ?父親であるアルビンとは血こそ繋がっているかも知れないがお主とアルビンは考え方も違えば価値観も違う別人では無いか。そもそも、お主は父親であるアルビンと違い我の事を思って自ら身を引こうとしておるではないか」
「クロード殿下………」
「父親の悪評は確かにあるかも知れないがそれはあくまでも父親の悪評でありお主の悪評ではない。そんなもので我の評価が下がってしまうというのであればそれはお主が悪いのでは無くて単なる我の力不足に他ならぬ。それにモーデル、お主であればアルビン程度の悪評など直ぐに覆せる程の人物となると我は思っておる。この我の人を見る目は狂っておるのか?」
父親の悪事がバレてから、クロード殿下だけである。
クロード殿下だけが俺は何も悪くないと、おっしゃってくれた。
周りは当然、俺自身までもが自分の事を大罪人と思っていたという事に気付かされた。
そして俺は流れる涙を拭う事もせず答える。
「いいえ、クロード殿下の目は狂ってなどおりません。その事を私自らが証明して見せましょう」
「うむ、期待しておるぞ。モーデル」
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