第44話腹が立って仕方が無い
これで彼らが潰れてしまうのか、この経験を糧に次へと進むのか見ものではあると、まるで他人事のように考えてしまう。
しかしコレは俺が前世の知識を持っており年相応に女性経験を踏んでいるから出来る高みの見物であり、相手が俺の事を童貞だとはなから決めつけ、気づかれないだろうとタカを括って行動しているからであり、もし俺が前世の知識を持っている事を知っていたのならばまた違ったのかもしれないのだが。
それは所詮たらればの話である。
ゲームの様に少し優しくされ、自分を肯定されただけでコロッと行く俺では無い。
しかし、である。
アイリーンの行動により迷惑がかかっていないと言えば嘘になる。
それは、明らかにリーシャがアイリーンを避けているせいで俺がリーシャと過ごす時間が少なくなり、代わりにアイリーンと過ごす時間が日に日に増えていっている事である。
はっきり言って迷惑極まりない。
寧ろ俺の、将来手足となるであろう者たちをこうも次々篭絡され喰われて行かれると言う実害が出ている。
そのせいでアイリーンだけ俺の周りのガードがここ最近かなり緩み始めてしまっている。
コレを実害という言葉以外に何と言うのか。
「どうされましたか?殿下」
「………何でも無い。気にするな」
そんな俺の苦労も知らずにアルキネスが心配気に俺へ声をかけてくる。
そんな彼に『誰のせいだよっ!』と怒鳴りたくなるのをグッと堪えて何とか返事をする。
そんな時に件のアイリーンが俺へ声をかけて来る。
「クロード殿下は具合がわ───」
「たかが平民が我の名前を気安く呼ぶなと何度言えば分かる?それと、何故ここに居る?貴様らもだ。貴様らは平民の
「ご、ごめんなさい殿下っ!私っ、そんなつもりじゃ………」
あぁ、イライラする。
護って貰って当たり前、媚びれば許してくれる、か弱い女を演じれば周囲の男性達からの好感度が上がり、そしてちやほやさせてくれる。
だから私は好き勝手出来る。だから私は私の思い通りに周りを動かせる。だから私はクロード殿下を惚れさせる事が出来る。
そんな打算が滲み出たアイリーンの言葉、行動の一つ一つが腹が立って仕方が無い。
そして、そういう自分本位な者は自分に降りかかる不幸は全て周りのせいにすると、俺は理解している。
「申し訳ございません殿下。しかし、少しばかり厳し過ぎやしませんか?そもそもここ王国立魔術学園は貴族平民関係無く皆平等をモットーとしており校則にも組み込まれている筈ですっ!本来であれば生徒の模範とならなければいけないクロード殿下がこの様な事をおっしゃっては他の生徒に示しがつきませんっ!」
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