第42話臭いだけの演技
「何でも良いでしょっ!?そんな事よりも今日は夜ご飯奢ってくれてありがとうっ!」
「しょ、庶民である貴女の事ですからどうせ食うに困っていると思ったまでです。ですからこれは貴女のためを思ってやった行為ではなくて、そんな者が我が魔術学園に在籍しているとなると魔術学園のイメージが下がる事を良しとしない私が勝手にやった事ですので感謝など不要です」
そして私は話をはぐらかして彼の右腕に腕を絡めて胸を押し付ける。
すると、たったそれだけの事で現宮廷魔術師筆頭の長男であるオルガンは顔を赤らめて分かりやすい言い訳を長々と言い始める。
このオルガンであるのだが、オルガンの母親はオルガンを産むのと引き換えに亡くなってしまったらしい。
そして父親は妻を溺愛しており操を立てて新しい妻や妾を作らない所か世話係も全て男性に変える徹底ぶりであった。
その為オルガンが女性に、特に母性に飢えていると判断したのだがどうやら当たりだった様で何回か自作のお弁当を与え、餌付けするだけで今やこの状態である。
何が氷の王子だよ。
女を知らないただの童貞ではないか。
チョロすぎて何処が氷と言われているのかすら分からなかったくらいである。
「それでも私は貴方に、オルガンに感謝したいのっ!ありがとう、オルガンっ!………っとととっ!?」
そして私はまるであたかも、一途にオルガンを想っているかの様な言葉に、声音に、表情でオルガンに思わせぶりな態度を取ると、足を取られてフラつく演技をしてオルガンの胸へとしなだれかかる。
「おいっ!だから言ったでしょうっ!?慣れてないのに酒に手を出すのは危ないとっ!!」
「うぅー、ごめんなさいっ!次から気をつけるからね?」
「当たり前ですっ!呂律が回らない程飲んで無かったのが救いですがそんな足取りでは───」
「でも、オルガンだけだよ?」
オルガンの説教じみた言葉を遮り相変わらずオルガンの胸へしなだれかかっている私は目を潤ませながら上目遣いで貴方だけだと熱の篭った声で囁く。
「………っ!?」
「オルガンにしかこんな私は見せない。オルガンだからお酒を飲んだの。オルガンじゃ無ければそもそもお酒なんか飲まないわ」
「あ………貴女って人はっ!!」
あらあら、氷どころかあっつあつに沸騰しているんじゃなかろうか?ってくらい顔を真っ赤にさせてからに。
「でも、今日はちょっと歩いて帰るのは怖いかも………」
そう言う私の後ろには休憩宿。
でなければ、こんな臭いだけの演技などする訳がない。
そして私は呟く。
「オルガンとなら、良いよ?私の初めてを奪っても………」
────────────────────────────────────────────────
フォロワー数1000人突破致しましたっ!!!ありがとうございますっ!!ありがとうございますっ!!過去最速でございますっ!!
これもひとえに皆様のお陰でございますので感謝しかございませんっ!
そして、これからもよろしくお願いしますっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます