第37話男というのはバカだと言わざるを得ない

「いち側仕えに過ぎぬ私への気遣い、身に余る光栄でございます」

「何を今更であるな。我とお主の仲ではないか。もうスパイ等もする必要は無いのだからあんまり気を張らずに、ニーナにはこれからの仕事に関してはのびのびとこなして欲しいと思っているさ」


クロード殿下のこの言葉はまごう事なき本心なのであろう。

私の様な下級貴族かつ、側仕えと言えば聞こえはいいがストレートに言うのであれば召使に対してもしっかりと気遣ってくれる。


それは私だけではなく他のメイド達にも同じ様な態度で接している。


なんと器の大きなお方であろうか。


クロード殿下が将来の国王となるお方であり、それを支える王妃はリーシャ様。


このグラデアス王国はまだまだ安泰でありその未来はより一層輝かしい事であろう。


だからこそ、私はクロード殿下の優しさに胡坐をかき、日々を過ごす事など出来ようはずもない。


あの日クロード殿下は私に言って下さった。


目には目を、歯には歯を、恩には恩を、と。


殿下から今まで受けた恩を私が何処までお返しできるのかは分からないし、間違いなく死ぬまで頑張っても全ての恩をお返しする事は出来ないであろう事は理解しているが、だからと言って恩を返さないという選択肢は私には無い。


そして私はより一層、クロード殿下への忠誠心を高めるのであった。





なんとか当初の目的である、ここ王国立魔術学園へと入学する事ができた。


平民の私からすれば入学金だけ見ると親の年収の四倍とふざけた金額なのだが、そこで諦めるから一生平民、一生貧乏、皆平民は同じように生き同じように死んでいくという事を理解していない。


流石にアルビンのカスがあそこまで使えないとは思わなかったのだが、お金を持っている男なんていくらでもいる訳だし、お金が無くても工面させれば良いだけの話である。


その点で言えば当初の私はアルビン一人に全てを託していたのが仇となったと言わざるを得ない。


権力財力申し分ないのだが、アルビンがダメになった場合を誰も用意していなかった為にその後の金策にはかなりの労力を使ったものである。


しかし男というのはバカだと言わざるを得ない。


若く美しい女性の身体を抱かせ、愛していると囁くだけで皆自分からお金や装飾品などを私に貢いでくれるんだから楽なものである。


その為バカな男性たちの管理やこまめに会って好感度上げるのには面倒で仕方なかった。


まぁでもそれらの苦労もこの学園に入学できたのだから良しとしよう。

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