情報 と 金
盗賊のアジトを出た俺はローズの荷馬車に乗り移動をしていた。
結局あの後は日が落ちていて少し移動してから野宿をして一夜を過ごして早朝すぐに出発することになった。
荷台の中には奴隷がいるものと思っていたが普通の商品が多く積まれていた。
大量の薬草が目に入るが、他はすべて薬のような物を大量に箱詰めされていた。
「そんなに物珍しいかい?こう見えて表向きはただの運び屋なのさ」
元の女狐の姿で馬の手綱を引いているローズが荷台に乗る俺に話しかける。
表向きはか、流石に奴隷商というだけで世に出るのは悪手というわけか。
運び屋、そんな言葉を聞くと何かヤバいような響きをイメージしたが、それよりもヤバい事を裏でやっているんだから可愛く思える。
俺は荷台に揺られながら外の景色を眺めた。
森を抜けると巨大な平原へと出た。
小型の鳥モンスター達が群れで空を気持ちよく飛び交っていたり、鈍足のキリン型のモンスターが大きな木の葉を食べていたり、鹿型のモンスターが数匹で何も無い平原を元気に走り回っていた。
こんな光景を初めて見たように俺は頭を空にして眺めた。
荷台に揺らされて移動なんて今までも何度もあった。鉄の檻の中に閉じ込められてただ次の目的地を待つだけの時間。
俺にとっては何処に行こうと何も変わらない、関係の無い事だとずっと檻の床を見ていた。
もし・・・この光景を昔の俺が見たら夢見でもしたのかな。
どれだけ酷い環境でも希望がある、だって世界はこんなにも広いんだから。
「無いな」
そんな夢物語を思う事はないだろう。
少なくても今の俺が思わないのだから思うはずも無い。小さな希望に縋ってこの奴隷紋を消すことが出来るならすぐにでも縋りたい。
が、そんな物はない。その希望すら幻想である可能性があるのだから、今の俺には縋る物が何一つ無い。
強いて言うならその消そうとしている奴隷紋の力だけだ。
今回の植物ディザスターを一撃で倒せたのだって結局は奴隷紋の力、スキルがあったからこそだし・・・。
「で、そろそろ話してくれてもいいんじゃないのかい? 聞きたいこと」
再び俺に話しかけてきた。
こいつは俺が恨みを持っているということを知らないのか、わざとやっているようにしか思えないが、ローズの性格上そうあっても不思議では無い。
次会った時には殺す・・・延期が確定した。
とは言え、アジトを出た時も思った通り好都合だ。
聞き出したいことはあるが。まず最初に聞かなくてはならないことがある。
「あんなところまでわざわざ何の用なんだ?」
「ん?? あ、そっち??」
自分が思っていた質問とは違った質問だったからか変な声を上げている。
そんな声に少しだけ愉悦感が出たが、まぁそんなちっぽけな感情だけでは満足しない。
「ん~~っとんーー、ちょっち手伝って欲しくてね~」
何を言い出すかと思えば。
俺がローズの手伝いなんてすると思ってるのか。その事にこっちが驚くぞ。
奴隷なんかの俺に手助けを求める、いや奴隷だからこそなのか。
昨日のボスの反応からして逆神の代償、俺が人間に手を出せない事はあまり知られていないと判断してもいい。
勝手な印象だが、あのボスは、俺の監視調査だったり今回教えて貰えた俺の新たな目的地であるグインズの情報だったりと見た目に反して情報通な面を感じた。
そんなボスが奴隷専用のスキルを知らないとなればあまり知れ渡っていないと解釈してもいいだろう。
だが、今俺が話している人間はそうじゃない。
俺にそのスキルの代償を説明した張本人。
その張本人が代償を盾に頼み事なんて最悪以外の何ものでもない。
「友達いないのか」
「ぐさぁあ!!! それは言わないお約束だよレーグ君!!!!」
お約束って、一体何の話だ。
とは言え話しだけは聞くことにした。何も知らない力はあるだけのただの奴隷に頼み事。
俺の目的を知っているの唯一の人間だ、今後の事もあるしコイツを警戒する意味も込めて聞いた。
「グインズ、そこでちょ~っち面倒事が起きるようでね~」
ほう。
やっぱりそうか。もしかしてとは思ったが俺は天に恵まれている。
正直あのボスから奴隷のキナ臭い話を聞いてから思ったことはもちろん奴隷の販売元である奴隷商だ。
人間を非合法に利用している、好都合なのは奴隷とまでは誰だってわかる。
だが奴隷も一応生きている物だ、その非合法がどういった物かはまだ知らないが少なくても消費物である奴隷を補充するには必ず奴隷商の存在が不可欠になる。
つまりはグインズには奴隷商が多く出没している可能性があり、このタイミングで俺を呼び戻したローズの目的はやはりグインズだった。
「あのボスさんから何処まで聞いた?」
「特には」
そう、とローズは呟き早速を話しをした。
「簡単に言えば、ディザスターへの対抗手段の開発とだけ認識してくれればいい」
それはボスからも聞いた。
ようやく本腰を上げたお国様がグインズに神災の対策本部を設立するとかなんとか・・・。
もしかして、奴隷とそれが関係している・・・していてもおかしくないか。
だって俺自身がその証明でもある。
奴隷にはディザスターを翻弄する力があるんだから。神災が起きて何年経過しているのか思い出せないが少なくても世界中の誰か、このムカつく女狐以外にも奴隷の力に勘付いた者が居ても不思議ではない。
「ん~ん、何となくわかってきたって顔だね~。話しを続けるとこちらとしては、その対抗手段とやらを消し飛ばして欲し~んだコン☆」
イラッ。
こちらを振り向き右手でまた狐の形をとってウインクをしてきた。
なんでこんなにも腹正しく感じるのだろうか。あの子がやれば可愛いとまで思うのかもしれないが、この女狐がやるとただただ胸糞悪くなる。
一度気持ちを落ち着かせた。
落ち着かせたと同時にこいつは一体何を言っているのだと疑いの目を向ける。
対抗手段を消し飛ばせって・・・人間のコイツが本気で言っているのか?
その対抗手段とやらが完成すれば、神災の脅威は晴れる可能性が十分あるのに、それを破壊しろなんて。
俺自身は神災に立ち向かう手段が人々に出来ようと出来まいとどうでもいいが、狂ってるとしか思えない。
「本気で言ってるのか?」
「本気も本気ー、出来たらご褒美いっぱいあげちゃう」
そのご褒美とやら別に欲しくないが、こいつの目的がわからない。
確かに俺視点の話で言えば合理性はある。
もし俺がディザスターを倒す前に誰か、それこそその手段とやらで倒されたらせっかくのアイテムを手に出来なくなってしまう。
それは俺の目的を阻害される行為だ。
これは難しい事かも知れない。
確かにその手段で神災を抑える"だけ"なら俺も嬉しい限りだ。何故なら俺はディザスターが目的、少しでもダメージを入れさえすればいい、それで倒されればアイテムが手に入る。
神災が終わる条件はわからないが、仮定で考えるならば神災周囲の人間や生物が全滅したら神災が終わるとすると、少しでも抗って貰って俺自身が到着する時間を稼いで貰いたいとも思う。
だが一番最悪なパターンは神災事態を起こさないようにするパターン。
またはディザスターを一撃で倒すパターンだ。
もし神災の場所まで到着したのにその瞬間にディザスターが消滅するなんてことがあった日には目も当てられない。
可能性を考えたらキリが無いというのはわかっているが、そこまで考えて行動しなくてはならない。
自分の思考をフル回転させなくちゃ恐らく生きていけない。それを俺は昨日実感したんだ。
あのイノシシと出会って。
あれだけの人間がこの先うじゃうじゃと居た場合正直俺が生きて行ける可能性が極めて低くなる。
それこそ捕まってその非合法とやらに利用されるのが落ちだ。
「私の目的でも考えてるならそうだなー・・・強いて言うなら商売が成り立たなくなる。お得意様が居なくなるのは勘弁だからね~」
あまり聞いていて気持ちの良いとは言えない言葉が飛んできた。
お得意様、つまりはその非合法の何かをしている連中の事だろう。
その手段が確立したら奴隷商売の売り上げが落ちるから、その手段を破壊しろか。
奴隷は神災の敵、人間は奴隷の敵。
なのに目の前のコイツは一体何を考えているのか本当に読めない。
当然、今の言葉は話し半分で聞くことにしておく。
「まぁ~グインズまでは時間が大いに余っている、気長に考えてくれたまえよ」
俺がグインズへと向かうのをどう知ったのかはわからんが、俺をとりあずグインズへと運んではくれるということか。
ローズの言葉に甘えるようで癪だが、徒歩で行くよりも数倍効率がいいことを考えるとこのまま荷馬車に揺られていることを選んだ方がいいだろう。
最悪何かあっても奴隷商と奴隷で納得のいく組み合わせだ。
バレたとしても一人でバレるよりもいいだろう。
「でででで??? 何何?? ほら!ほらほらほら!」
耳に手を当て聞く耳を立ててますアピールをするローズ。
本当にただただムカつく仕草をどれだけこいつは持ち合わせてるんだ。
もはや聞くことすら嫌になるほどだ。
俺は苦虫を噛み締めたような顔をしながらローズに聞いたのだった・・・。
・ ・ ・
「はぁ・・・」
日はもう落ちて俺とローズは荷馬車を止め野宿をしていた。
あの後結局あまり聞くことが出来なかった。
ただただローズがウザくて俺の心が拒絶をしてしまっていた。
一つだけわかった事がある。
先日俺が考えた事はあながち間違いではないようだった。
奴隷の逆神のスキルは奴隷紋の力の延長線上の存在であるということ。
買い主から世界中の人間へと変わったのは、スキルの代償では無く、奴隷紋の効果の拡大された物の可能性があると。
実の所ローズは詳しく教えなかった。
自分もそこまで詳しくないんだよね~と鼻をほじくりながら話していた。
すぐに絶対に嘘だとわかった。何かを知っているのは確実だった。
少なくても俺の考えはあながち的を得てないとは言えないらしいということくらいはわかった。
まだまだ課題が山盛りで頭が痛い。
「でででで!!?! そのディザスター倒したんだ~~やるね~~」
それからという物、エレウンドで別れてからどうな事があったのか話していた、話されていた。
ついこいつの口車に乗ってしまい、それを教えたらまた教えてあげるなんてとてつない嘘に騙された。
「スキルの使い方とかは上々と言ったところかー、お姉さん嬉しくて涙が出ますよ」
本当に涙を出して泣いている素振りを見せる。
任意に涙を流す魔法なんてあるのか、俺もそれ欲しいかも・・・使う場面があるとは思えないけど。
「では!ここで迷える奴隷にローズマリエスからのワンポイントアドバァァアーーイスッ!!」
急に立ち上がり人差し指を天高く上げて大声で叫んだ。
夜中だというのにこの女はなんでこんなにもテンションが高いんだ。
あぁそうか、キツネって夜行性なのか。
こいつと絡んでいると不思議と寝たいという睡眠欲が働く。もう付き合っていたくないという表れだろう。
「徳を積むがいい! さすれば汝の道も切り開かれるだ、ろぉぉおぉおう!!」
だから、うるせぇって。モンスターが来ても助けてやらんぞ。
いやむしろ来てくれ頼む。
こいつを噛み千切って、蹂躙してくれ。
ゴブリンさんオークさんここですよ。意気の良いのがここに一匹いますよ。
「はぁ・・・」
「なんだい、溜息なんてついて、私は間違ったことは言っていないのだよ?」
どうしてだろうか、こいつの言葉全てが耳に届かなくなっている。
聞き疲れ、喋り疲れか。ローズの言う言葉がどれが冗談でどれが真実なのか判断出来なくなっている。
一応覚えておく程度に納めておくか。
「あっ! 待て待て、まだ冷血のユリスと君の熱い熱い死闘を繰り広げた話しはまだ終わっていないだろう! 起きたまえよ!」
もう限界だと俺は横になった。
一人訳のわからないことを言い続けているローズを背に俺は眠りに付いた・・・うるさくて静かになるまでかなりの時間が経過したのは言うまでも無い・・・。
結局それからグインズに到着するまでの間はとにかくローズの質問攻めが激しくうるさかったことしか覚えていなかった。
・ ・ ・
レーグとローズが盗賊のアジトを後にした同時刻、聖天騎士団はイーガルで同じように任務である正体不明のモンスター撃退を死亡者無しで終えた事と村長の息子も救出できたことを祝い宴を開いていた。
騎士団はイーガルで一日休みを与えてから出発する予定なのだが、それを良しとしないように騎士団がいるイーガルに伝書が届いた。
「はぁ・・・本当にもう」
「何?」
フォルトは鳥型の伝書モンスターから一通の指令書を手に溜息をついていた。
それをユリスは気になっていた。
「新しい指令? ダンジョン? 紛争地? それとも・・・」
「どれでもないわよ」
「そう・・・」
頭を抱えるフォルトとは反対に肩を落とし落ち込むユリス。
そしてフォルトはすぐに酒場で飲み食いしている騎士団員全員に告げた。
「えー・・・これからすぐに出発、目的地。グインズ!」
フォルトの指示に騎士団全員がブーイングを鳴らした。
ただでさえ負傷者達もいる中で団員は抗議を申し出るもフォルトはただ団員に申し訳ない顔を浮かべていた。
そして団員達はそれを見てすぐに溜息を混じりながらも出発準備に取り掛かっていた。
「ごめんよ、みんな・・・」
「良いってことよ隊長、もう慣れっこですよ」
男の団員達も酒を楽しんでいたのにも関わらず晴れ晴れとした表情で酒場を次々と後にしていく。
フォルトも酒場の勘定を済ませ歩き談笑をする団員達の後を追う。
そんな団員達の話題は、あの事に集中していた。
「にしてもあれか、今日のディザスター倒した奴、あれってもしかしてグインズで開発されてた奴の試作品なのかな?」
「ありえる、あの威力。あんな魔法あのマッド達にしか作れんだろう」
「ついでに拝んでみるのもありかー」
団員達はあの魔法の力を見て興奮が止まらなかった。
もちろん、それを誰が使ったまではわかっていないが自分達の目の前でディザスターを一撃で倒したという事実を変えることは出来ない。
「なぁユリス」
「ん?」
「あれってさ、あの冒険者?」
フォルトは小声でユリスに聞いた。他の団員に聞かれた時面倒になる可能性を考慮して実際に戦ったユリスにだけ聞いた。
「・・・冒険者?」
ユリスは首を傾げていた。フォルトの言っている意味がわからないように。
フォルトも言い方を変えた。早朝に出会った冒険者の事だと伝えるもユリスは再び首を傾げていた。
「違う・・・と思う。あれ冒険者じゃない・・・と思う」
最初は盗賊と思っていたユリス。
だが改めて戦った男はなんだったのかと考えるが、フォルトの言う冒険者以外に当てはまる物が無くあやふやな答えを出した。
「まぁ何だっていいや、で。あの魔法使いがやったんだろう?」
「それは間違いないと思う、臭いがあったし」
しっかりと確認したわけでは無いがユリスはその存在を感じ取っていた。
それを聞いたフォルトは更に頭を抱えていた。新しい指令書を見るよりも更に頭痛が広がった。
「あれ、ちょっと待ってヤバい・・・あれがもし対神災の人間だったら・・・」
「大丈夫、きっと違う・・・と思う」
何を根拠にとフォルトは本当に頭を抱えていた。
フォルトの言いたいことは簡単だった。
今団員達が話している内容、それは前代未聞のディザスターを一撃で打ち取ったという事。
その事実は国が耳に入れば勲章物である。
その力を持った人物の可能性が考えられるのは自分達が今から行くグインズの研究結果を持った人物。
そしてその人物は・・・ユリスの襲撃を受けた。
「うぁああああああああああああ!!!!!」
ついにフォルトは叫び散らしてしまった。
今回のグインズの召集。
その意味を考えてしまった瞬間フォルトは叫ばずにはいられなかった。
流石に団員達もその行為に驚き会話を止めフォルトに目線を向ける。
「みんな・・・みんなの命は私が守るよ・・・」
「「「「「は、はぁ・・・」」」」」
団員達は涙目のフォルトの言葉を聞いて頷いた。
一体何のことか団員達わからないながらもフォルトを心配し肩を優しく叩きながら慰めていた。
これもまた慣れているかのように全員が隊長に優しい言葉をかけていた。
そうして、レーグ達と同じように聖天騎士団御一行もグインズへと向かうのだった・・・。
・ ・ ・
「あれがグインズか」
ついにグインズの姿を視認できる所まで辿り付いた。
大きな壁で取り囲まれている街、ここまで来る前にローズの話相手になってやった時に少し聞いた。
なんでも俺はここへ数回訪れていると言うが当然覚えている訳がない。
イメージしていた物よりも数倍の迫力というか、街と呼ばれるだけあってこういったモンスター除けの物があると中々圧倒される物がある。
「あ、そうだそうだ。これ渡しておくよ」
いつものように小太りの男の姿のローズが何かを思い出したかのように一枚の鉄で出来た板を渡される。
そこには『薔薇薔薇商』という名前と何かの模様が掘られたプレートだった。
「それが身分証になるから無くすんじゃないぞ?」
身分証・・・。
そうか、こういった物がないと街にすら入ることも出来ないのか、なんて不便な世の中だ。
なんて思うも当然か、普通に考えて身元が不明の人間を大きな街に入れる訳に行かない。それが小さな町や村ならともかく国や首都に近い街となるとヤバい奴が入れないようにするのは当たり前か。
こんな物を用意しておいてくれるなんてな。意外にも優しい面もあるようでローズを少し見直した。
「もちろん金は貰うよ、銀貨50枚くらいでいいよ」
前言撤回。
「ふざけるな、俺は一文無しの奴隷だぞ。そんな金あるわけない」
まずもってこっちは銀貨50枚ってどれくらいかもわからないんだぞ。
仮に何かの依頼を冒険者のように請け負ってどれだけ貰えるのかもわかってないのに勝手に吹っ掛ける奴がいるかよ。
「金は無くても金になる物は大量にあるだろう?」
左頬を触れながら答えるローズ。
奴隷紋? それが・・・。
あぁそっか、モンスターの素材を売れってことか。確かにここへとたどり着くまでにモンスターと戦ったから素材は十分あるが・・・。
「ちょっと待て、それを知っててお前、俺が倒したモンスターの素材半分寄越せって言ったのか?」
「運賃代と言っただろう? 君も了承したじゃないか」
こいつマジで殺してぇえええええええええ!!!
初めから巻き上げる気満々でそんな提案をしてきてたのかよ! 最初は別に使い道も無いから別に問題無いと思っていた。どれだけ浅はかなんだ俺は・・・コイツと関わってると日々知能指数が落ちているように感じる。
前ならもっとまともに・・・多分冷静に考えれてたと思うのに。
「大丈夫大丈夫、素材を買い取ってくれる知人は紹介してやるさ」
「それも紹介料取るんだろ」
「よくわかってるじゃないか、銀貨1枚で許してやる」
足元見やがってこの野郎!
駄目だ、どれだけ馬鹿にされてるんだ俺は。
もうこれじゃあ俺のストレージの中の素材達が大金になってくれることを祈るしか道は残されていない。
ついつい奴隷紋のメニューを開きこれまで手に入れた物を眺めていく。
(駄目だ・・・何が何やらわかんねぇ)
俺なんかでもわかるようにアイテムの値段も記載してくれればいいのにここへきてスキルの力の不足の部分を呪う。
奴隷なんだからさ、奴隷でもわかる新設な設計にしてくれよスキルさんよー・・・。
もっと言うなら世界情勢だったりこの世界であるフェインズの歴史とか常識とかわかるように教えてくれよ。
それを知っているのが目の前の奴隷商の糞女狐だけって立ちが悪すぎるんだよ・・・。
こうして俺が初めて訪れる街、グインズへと入るのであった・・・。
ここでもまた厄介な事に巻き込まれるとは、今の俺にはまだ知る由もなかったのであった・・・。
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