塔内



 鉄塔の白く浮かぶ時が夜。来た間に覆う骨の照明の、黒い気流に満たされた雨上がりの日には、下にある草木が生きていた。厚く遮る音の反響に押されている。公園のブランコのように、波にさらわれ帰らなかった。錆が漂っていたのが梅雨明けの空。白く伸ばした塔の上に、空へと昇る無数の錆が。目の奥へはガスの川。雑念だけが内から出ていた。

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