連日


 鋭い朝。寂しさを過去に投げる曇り空を歩くことは、人の少ない街中での廃液を掬う虫のよう。電信柱の灰色を手にすると、右手は欠けて落ちていた。隙間には指の名残が垂れている。砂が風に取り残された暑い日は、街は昼までに消えていく。始発電車が交差する踏切の、向こうの土地は溶けてしまいながら。欠けた右手の持ち主は歩くのをやめた。

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