雲の下
分からなかった雲の隙間に、優しい風が蒼く入り込む。雲のスカートがゆらりと流れて、四角く浮かんだ身体が分かれていった。暑い道から昇りきる声に似た乾きが、また向かいの塀に上っていた。窪みに置いた花びらを思い返すと、その色褪せた日々が戻ってきていた。悲しいままの夏。どうして青い空は落ちないのだろうか。衰えを知らない雲、空よりも、風が道に降りてくる。また昇るまでの時間の中で、そうだ逃がしてしまわないように解剖しよう。雲の形になぞられた彼の記憶がよみがえる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます