【LIVE】人生RTA Part1【ルール説明】

「産まれました! 元気な男の子ですよ!!」


 名和田なわた家に、とびきりな家族ができた。


「産まれてきてくれてありがとう……。和樹かずき……」


 この人が、今回の母さん……綺麗だなぁ……。

 成長したらイケメンになるかなぁ? だとしたらRTAなんて辞めちまおうかな?

 っていかんいかん。同接何体かは分からないけど、幽宙浮遊ゆうちゅうふゆうのリスナー達が今俺のことを観てるんだった。ルール説明をしなければ。


 前世の記憶を引き継いで転生した者は、役人を通じて情報を発信することが可能である。初めて知った時は、『なんで今まで引き継いでこなかったんだ!』と自分にキレそうになったが、役人に『過去の因縁やトラウマまで引き継ぐのは嫌じゃろ?』と正解をくらった。


 本RTAのルール

 ・『人生』なので、個体は人間を選ぶ

 ・高校を卒業するまでは人生を全うする

  (記録を縮めようと転生直後に死亡する魂が増えると、地球の生物量が激減してしまうため)


 基本的にこの二つだけである。ルールや縛りを多くしすぎると、人間として生きた経験がない、あるいは『人生』に嫌気がさして記憶を消した魂達が混乱して配信を観るのを辞めてしまいかねないからだ。ただでさえ長丁場なので、視聴する際に敷居が高くなりそうな要素は排除しておく。

 なお、高校を卒業する前に命を落とした場合は死後十年転生で再チャレンジだ。


 この『人生RTA』にはもう一つ重要な鍵が存在する。

 それは。所謂『案件』というヤツである。

 人間に転生したことで才能を開花させた例はいくつか確認されており、戦国時代の『サル』で知られる豊臣秀吉がその最たるものらしい。

 幽宙浮遊の運営はこの配信を機に、魂達が人間に転生し新たな天才が生まれることに賭けている。俺は何気に責任重大なのだ。


 ではなぜ一個体の人生をまるまる流さず『RTA』の形式をとるのか? 答えはただ一つ。楽しいこと満載の十代序盤で切っておかないと、

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