わるい子

天野詩

わるい子

 目が覚めて、時計を確認すると針は10を指していた。

 重い体を起こし、制服に着替える。

 階段を下り、食パンをトースターにいれ、ダイヤルを3に合わせる。

 焼いている間に洗面所で顔を洗う。

 肩まである髪の毛を束ねるか迷っていると、リビングから高い音が鳴る。

 こんがりと焼けた香ばしい香りにレベルアップした食パン(トースト)を皿に乗せ、冷蔵庫からバターと苺ジャムを出し、半分ずつ塗って折って食べる。

 そして、思い出したかのようにもう一度冷蔵庫を開け、牛乳を出し残りが少ないことを確認してパックに口をつけて飲む。

 そうこうしているうちに短い針は15を指していて、残りを口に詰め込み、玄関で靴を履く。

 扉を開けて、出て、閉める。そして鍵をかける。

 目的地に向けて歩き始めると目の前に白い猫がいた。


「かわいい」


 とりあえず写真を撮る。

 擦り寄って来る辺りかなり人懐っこいようだ。

(おっといけない)

 かまってあげたいけど、今は目的地に急がねばならない。

 猫に手を振って歩き出す。

 

 10分ほど歩くと、目的地についた。

 靴を履き替え、教室に向かう。

 ちょうど休み時間だったらしく、廊下は人で賑わっていた。


「重役出勤」


 教室に入ると、友達にそう言われた。

 

  そうか、これが重役出勤か。


  私はまた一つ学んだのであった。


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