政府の財政収支が赤字で民間部門が投資超過の場合、その国の経常収支はどうなるか
政府の財政収支が赤字,民間部門が投資超過という状態で,その国の経常収支が黒字になることがありうる。
貯蓄・投資バランスの分析とは、経常収支=〔貯蓄-投資〕+〔租税-政府支出〕という式によるアプローチである。この式についてもう少し詳しく見ていきたい。経常収支とは、〔貯蓄-投資〕とは、民間貯蓄超過または純貯蓄(民間部門が税引き後の可処分所得から消費および投資を引いた残り)であり、つまり財政収支にあてはまる。〔租税-政府支出〕とは、政府純貯蓄(政府が課税という形で民間から取り上げた財・サービスのうち、政府支出として利用しなかった分)であり、つまり民間部門の収支にあてはまる。これらふたつの合計が経常収支である。
財政赤字とは、あくまでも上の式でいう〔租税-政府支出〕の部分が負であることを示すものである。経常収支は、〔貯蓄-投資〕と〔租税-政府支出〕の合計であるので、民間部門の投資の超過額が財政赤字を上回れば、全体としては、その国の経常収支は黒字になる。
よって、その国の経常収支が赤字であるか黒字であるかは、財政収支と民間部門の両方を見なければならず、冒頭に書いたような結論が導かれる。
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