為替レートの変動が世界経済に及ぼす影響
為替レート(実質為替レート)が変動すると、輸出入の弾力性に応じて輸出入の価格が変化し、それに応じて貿易量が変化することになり、結果的に世界の貿易全体に影響を及ぼす。その結果として、世界の経済を記録している国際収支の一項目である経常収支の、さらにその一項目である貿易収支が変化する。
貿易収支は輸出収入と輸入支出の合計であるため、通貨の切り上げと切り下げがただちに貿易収支の改善であるかどうかはわからない。そこで、マーシャル・ラーナーの安定条件(自国財に対する外国需要の弾力性と外国材に対する自国需要の弾力性が十分に大きくなければならない)が満たされているという前提条件が必要である。その場合、自国通貨高は貿易収支を悪化させ、自国通貨安が貿易収支を改善させる。輸出入の弾力性の和が1を上回ると、輸出量が増え、交易条件の改善は貿易収支の改善につながる。
経常収支の視点から見ると、貿易収支は貿易・サービス収支の項目にあたる。貿易収支の悪化と改善により、悪化であればその項目の赤字、改善であればその項目の黒字につながることになる。そして、貿易収支は経常収支の中でも大きな数字を占めているので、経常収支全体のバランスに大きく影響することになる。
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