なぜ変動相場制の下では国際資本移動が大きくなるほど財政政策の効果が弱くなるのか

 国際資本移動の大きさは、BP曲線の状態に影響を及ぼす。そしてBP曲線の傾きは、財政政策の効果に影響を及ぼす。また、資本移動が完全な場合、BP曲線は不動で水平状態だが、不完全な場合は、どの程度不完全なのかが反映される。

 たとえば、国際資本移動が大きい場合を考えたい。その場合は、内外金融資産の役割が大きいということなので、BP曲線は水平に近づき、財政政策の効果は弱くなる。

 更に説明するために、財政政策のプロセスを順番に見ていこう。拡張財政によりIS曲線は右上にシフトし、金利上昇、資本の流入により資本収支黒字となり、自国通貨高(円高)となる。新しい均衡点で黒字ということは、自国通貨高は続き、貿易収支は赤字化し、貿易収支の黒字を相殺し、IS曲線は右下シフトする。円高は、貿易収支を悪化させ、金利上昇、資本流入、BP曲線は左上シフトする。

 ここで、BP曲線の上方シフトによって新たな国際収支均衡が達成されるわけだが、国際資本移動が大きく、BP曲線が水平に近づくと、その財政政策の効果が弱くなる。

 逆に、もし国際資本移動が小さいと、BP曲線は垂直に近づくため、財政政策の効果は強くなる。これは閉鎖経済モデルに近づくと表現することもできる。

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